市馬さんに夢中!

懸賞 2013年 03月 30日 懸賞

f0036354_1742431.jpg3月26日代官山の蔦谷書店で行われた「第3回 寺カフェ落語」に行ってきました。
寺カフェというのは、仏教やお寺をもっと身近なものとして感じてほしいというコンセプトのもと川崎にある浄土真宗本願寺派 生田山信行寺が行っているプロジェクトの一つです。
何かに思い悩んでいるのに誰に相談したらいいか判らない。自分の小さな悩みを相談して笑われたらどうしよう?かつてお寺はそんな人々を救う相談場所でした。

しかし、現代人にとってお寺は敷居が高く、すっかり人々から縁の薄い場所になってしまいました。よし!それならお寺の方から街へ出かけよう。いろんなイベントや企画で盛り上げて、人々が、お茶を飲みながら気軽に相談できるような「出張駆け込み寺」にしよう!
それが「寺カフェ」の起こりなのだそうです。

しかし、何ゆえお寺と落語?と思われる方もいらっしゃるかと思います。
昔お坊さんは仏教の教えを楽しく聞いてもらうために、面白おかしくお話をされた方もいらしたそうです。人々はその話の面白さに惹かれてお寺に参ることも多かったといいます。
お坊さんの説法が実は娯楽の要素を持っていて、それがやがて形を変え落語や浄瑠璃、講談、講釈、漫談などの芸能になっていったとも言われています。
お寺は日本の文化の中に実はさりげなく溶け込んでいるのですね。

寺カフェのプロジェクトは今まで寺カフェ@丸の内という期間限定カフェや代官山蔦谷書店での写経会、ヨガなど様々な楽しそうなイベントを開催されています。
こういう楽しい企画から、人々にとってお寺がもっと身近なものとして感じられるようになって欲しいと心から思います。

3月の初めに代官山の辺りをジョギングしていて、立ち寄る予定のなかった蔦谷書店にたまたま入った瞬間「寺カフェ落語」のチラシを目にして雷に打たれたような衝撃を受けました。
第3回寺カフェ落語の出演は、な!な!なんと私の大好きな柳亭市馬師匠ではありませんか!もう、これは運命でしょう。行かずに死ねるか!という意気込みで当日を迎えました。

蔦谷書店2号館のカフェが即席イベントスペースに変身、座席は30席ほど。もちろん一番前に陣取りました。高座との距離は1メートルくらいでしょうか?
市馬師匠の息がかかるほどの距離です!ああ、もう夢のようです。

この日の市馬さんの演目は「御神酒徳利」です。
市馬さんの師匠である人間国宝の小さん師匠やジャイアンツの長島さんの爆笑うっかりネタなどをまくらに、さらりと本題に入っていく上手さがさすがです。

御神酒徳利には上方の流れを組む円生型と易の専門用語もなく小田原宿で逃げ出して終わってしまう小さん型があるそうですが、三代目桂三木助と五代目小さんの両方に師事した、入船亭扇橋師匠に稽古をつけてもらったという市馬さんはその両方のいいところを受け継いだミックス型なのだそうです。(今回は円生型のようでした)

【御神酒徳利】
通い番頭の善六、お店の大掃除で、出しっぱなしにしていた家宝の御神酒徳利を気を利かせたつもりで水がめの中へ入れたまま、すっかり忘れてしまう。
お店では家宝が行方不明だということで大騒ぎに。
家に帰って思い出すが今更言い出せない。そこで賢い女房に知恵を借りた善六は、そろばん占いで一芝居打つことに。なんだかんだで易の大先生として評判が立ち、それを聞きつけた大阪の大店鴻池の番頭が主人の病気の娘の病を占って欲しいと頼んできた。後に引けず旅立つ善六。神奈川宿での泥棒騒ぎがひょんなことから上手く解決し、またまた評判が上がる。上方に到着し、万事休す今度こそおしまいだと思っていいたところ神奈川宿のお稲荷大明神が現れて娘の病気の治療法を教えてくれる。娘は助かり善六は沢山の褒美をもらって江戸に帰ってくる。


市馬さんの落語は、どうしてこうも素晴らしいのでしょう。声がいいし、歯切れがいい。
御神酒徳利には多くの登場人物が出てきますが、一人一人を実に活き活きと演じ分けています。
そして一人一人のキャラクターに言葉では表せないような何か温かいものを吹き込んでくれます。
今回の寺カフェ落語のチラシに「芸は人なり」とタイトルがついていました。
小さん師匠の言葉で「心やましき者は噺家になるな」という有名な言葉があります。
あまり落語の世界に根っからの悪人は出てくることはありませんが、たとえ悪人を演じても、人間として根底にある温かいものを、少しでも吹き込んで演じてもらうと、どこか憎めないほのぼのとしたものを感じることができます。
それができるのが市馬さんです。
人が良くて芸が良い。しかも人の良さが芸の良さに繋がっているのです。

落語が終わって主催者側のゲストの方と市馬さんの対談がありました。
小さん師匠との思い出や、愛用している高座で使用する湯のみの話など、いろんなお話を聞くことができました。(しかも息のかかる距離で!)
素の市馬さんもとても魅力的で人間とし温かく、また気品漂う方でした。
生前の小さん師匠に可愛がられ、いつも行動を共にされていたと言います。
平成23年落語協会の副会長に、異例の大抜擢で就任されたということからも
誰からも愛されるお人柄なのだろうなということが伺い知れます。
ますます市馬さんのファンになりました。
市馬さんの落語を聴け(息のかかる距離で!)、この日は私にとって最高に幸せなひと時になりました。

by Ricophoo | 2013-03-30 17:13 | 落語 | Comments(0)

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