落語協会[真打襲名披露興行]

懸賞 2014年 03月 23日 懸賞

f0036354_1471314.jpg3月21日上野鈴本演芸場の下席(夜)初日を見に行きました。

この日はちょうど落語協会の真打襲名披露興行が行われるということで、会場はほぼ満席でしたが、運良く前から6列目位に座ることができました。

今回真打に昇進するのは
柳家小権太あらため3代目柳家東三楼さん(37)。
鈴々舎風車あらため4代目柳家三語楼さん(38)。
三遊亭亜郎あらため三遊亭究斗さん(51)。
古今亭志ん公あらため5代目古今亭志ん好さん(37)。
桂才紫あらため3代目桂やまとさん(39)の5人です。

こうして皆さんの年齢を見てみると、大体、落語家になろうと師匠の門を叩いて真打になるまで15、6年ほどかかるのが一般的なようですね。

しかし良く見ると三遊亭究斗さんはなんと51才!どうしてまた?と思って調べてみると彼はあの劇団四季のミュージカル俳優を10年もなさっていたという変わり種。

前職がサラリーマンだったという方は結構いらっしゃいますね。
三遊亭歌武蔵さんが元力士、その他にも元僧侶なんていう方もいらっしゃるようです。

「ミュージカル落語で日本中に名を轟かせたい」
先だって行われた襲名披露の会見での究斗さんの弁。
どんな落語になるのか期待が膨らみます!

真打昇進襲名披露興行は、この3月21日の上野鈴本演芸場を皮切りに、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、そしてラストはの5月の国立演芸場まで50日間に渡ります。

21日はその襲名披露興行のまさに初日、本日は他の四人に先駆けて柳家東三楼さんの登場です。

当然ながら真打ですからあとにも先にもこれが人生初のお披露目の舞台です。

どんなお気持ちでトリの舞台を待っていらっしゃるのかと思うと次第に緊張感が高まってきます。

ちなみに柳家東三楼さんの師匠は柳家権太楼さん
柳家三語楼さんの師匠は鈴々舎馬風さん
三遊亭究斗さんの師匠は三遊亭円丈さん
古今亭志ん好さんの師匠は志ん橋さん、
桂やまとさんの師匠は桂才賀さん 
ということで、この日は襲名披露の花向けに各師匠や兄弟子の方々が出演されているとあって、なかなか普段では聴けないプログラムとなっていました。

●三遊亭 美るくさん・・・【元犬】良く通る声と溌剌とした話しぶりに元気をもらえます。女性の前座さんは気のせいか「元犬」を演じることが多い気がします。その中でも美るくさんの「元犬」は可愛らしさが際立っています。

●柳家 甚語楼さん・・・【黄金の大黒】店子達が大家の家に羽織を借りて代わる代わる口上を言いに来るところまでの短縮版。元々は上方のネタだそうですが、廃れていたこの噺を掘り起こして磨きをかけたのが若き日の立川談志師匠なのだとか。

●松旭斎 美智・美登さん・・・【マジック】美智さんの結び目のマジックはいつ見ても華があります。美登さんがいるのに、客席のおじさんを2人もアシスタントとしてこき使う美智さんのキャラの強さに脱帽。

●古今亭 志ん輔さん・・・【替り目】NHK「おかあさんといっしょ」のコーナーで志ん輔さんが、ぶたくんとへびくんを使ってマペットモペットの先駆けみたいな事をやっていたのは、もう20年以上前になるでしょうか?当時の幼児や保護者からは、熱狂的な支持を受けていた志ん輔さん。20年ぶりの志ん輔さんとの再会です。落語を聴くのはこれが初めてですが、そのずば抜けた巧な話術とベテランの風格に時を超えて再リスペクトです。

●鈴々舎 馬風さん・・・この方も落語というよりテレビでの活躍が有名ですね。豪放磊落な印象そのままの高座でブラックジョークや友人知人のネタを交えながら「話に引き込む」技術、「笑わせる」技術はさすが落語協会前会長の成せる技!

●入船亭 扇辰さん【道灌】・・・前座噺とよく言われている「道灌」ですが、大御所クラスも好んで演る噺です。やはり基本がきちんと出来ていないと面白い話のオチには辿りつけません。そこはさすがの扇辰さん、柔らかで落ち着いた雰囲気と端正な口調、繊細な演技力とその格調高さには舌を巻きます。

●にゃん子・金魚さん【漫才】・・・ご存知すず風にゃん子・金魚さん!お約束、いつものネタでいつもの笑いをとっていました。同じネタでも「爆笑」させる圧倒的な雰囲気作り。ベテランの味わいです。

●三遊亭 圓丈さん【創作落語】・・・落語の「桃太郎」の流れで「三匹の子ブタ」が入りつつ「シンデレラ」まで入り乱れる圓丈さん得意の創作の妙が光ります。この圓丈師匠の創作落語と弟子の究斗さんのミュージカル落語の融合は落語ファンならずとも期待が膨らみます。

●林家 木久扇さん・・・笑点でもお馴染みの木久扇さん。日本中でお年寄りから子供まで一番愛されている落語家といえば木久扇さんではないでしょうか?「おバカキャラ」を売りにしている木久扇さんですが最近は「もしかしたら本当にすこしボケが始まっているのかも?」という不安に駆られる時がありますが、笑点での裏話、入門したころの思い出や彦六師匠とのやり取りなどをモノマネを交えながら客席を爆笑させていらっしゃいました。(まだ大丈夫)

●柳家 権太楼さん【代書屋】・・・権太楼さんの鉄板ネタ「代書屋」を存分に堪能しました。落語ファンなら一度はこれを聴かなきゃ権太楼さんを語れません。わかりやすさと独特のリズム、小細工なしの笑いを真正面からぶつけてきます。今日のトリを務める弟子の東三楼さんに「これが落語の真髄だ!」とばかり力強い爆笑落語を見せつけてくれました。

仲入りを終え、幕が上がるといよいよ真打昇進襲名披露口上です。

幕が上がり 左から、市馬さん(落語協会副会長)、木久扇さん(落語協会相談役)、中央に主役の東三楼さん、その横に師匠の権太楼さん、馬風さん(落語協会前会長)と黒紋付でずらりとならび口上を述べていくのですが、真打昇進の本人はその間ずっと頭を下げています。

市馬さんの祝いの相撲甚句あり、権太楼師匠の語る「東三楼」の名前にまつわる裏話あり、木久扇さんのモノマネあり(宇宙人ネタもやってくれました)で寿いだ中にも笑いに包まれた温かい雰囲気の披露口上となりました。

最後は東三楼さんの挨拶のあと、観客を交えての三本締めで終わりました。

●三遊亭 歌る多一門【松づくし】・・・今年はこの歌る多一門の松づくしを見るのは3度目になります。松の名所を並べておめでたい数え歌にしたもので三味線の音色に合わせ松の扇子を操りながら踊る粋な曲技です。

●柳亭 市馬さん【出来心】・・・市馬さんファンを自認する私としたことが今年は市馬さんの落語を聞く機会がなかなかありません。反省しきりです。市馬さんの演じる泥棒の弟子は、ちょっと知的な感じがしました。欲を言えばもっと間抜け感じがあってもよかったかなと。

●林家 正楽さん【紙切り】・・・今日のお題は「はね馬」、「東三楼師匠と権太楼師匠」、「東京音頭」、「上野の花見」、「正楽さん」。客席からの難問にもめげずに今日も完璧に応えてくださいました。

●柳家 東三楼【幾代餅】・・・この噺は米屋の奉公人の清三が吉原の花魁 幾代太夫の錦絵を観て一目惚れしたことで始まる「幾代餅」ですが、主人公の奉公先が「紺屋」(染物屋)で花魁の名前が「高尾太夫」になれば「紺屋高尾」という噺になりますが「幾代餅」が本当なのかなと思います。というのも、幾代餅は元禄17年に創業した西両国の小松屋で実際に売られていた餅菓子なのだそうです。車頭の喜兵衛が吉原河岸見世の遊女・幾世太夫を妻に迎え両国橋の西詰で幾世自らが焼いた餡入りの餅菓子を「いくよ餅」と名づけて売りだしたのが始まりで街中の評判となって偽物まで出回ったと言われています。

どちらにしても正直に一生懸命やれば未来が開けるという、おめでたいお話です。

東三楼さんの良く通る声とキレのある話しぶり。真打襲名披露初日のトップバッターを務める東三楼さんの緊張感がいい意味で伝わってきた一席でした。

失礼ながら、今まで小権太さんの落語を聴く機会はありませんでしたが、東三楼襲名披露の現場(一世一代の晴れの舞台)に偶然にも立ち会うことができ、嬉しく思うとともに、これも何かのご縁。
これを機会に柳家東三楼さんのご活躍を見守りながら、応援していきたいと思います。

by Ricophoo | 2014-03-23 13:20 | 落語 | Comments(0)

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