よってたかって夏らくごNIGHT2014

懸賞 2014年 07月 10日 懸賞

f0036354_2244733.jpg7月5日有楽町のよみうりホールで行われた「よってたかって夏らくごnight2014 21世紀スペシャル寄席ONEDAY」を観てきました。

開口一番は、市馬さんのお弟子さんの
●柳亭市助さん…「弥次郎」…市助さんの落語を聴くのはこれで3回目となります。「とにかく大きい声を出すこと。はっきりした話し方をすること。前座のうちは笑いをとるというよりそういう基本が大切だ」という市馬さんの教えを忠実に守っている市助さんの落語は実に歯切れがよくて聴きやすい。
嘘つき弥次郎と異名をとるホラ吹き男の痛快冒険譚をテンポよく明るく陽気な笑いにして届けてくれました。聞くたびに上手くなっている市助さんの成長が楽しみです!

●桃月庵白酒さん…「宗論」…落語協会総会の悪口、先月行った欧州公演の際の飛行機の機内食の悪口…お約束の強力な毒を含んだマクラのキレは白酒さん本日も冴えていました。〈今話題の県議の泣きの演技も魅せてくれました〉そして欧州公演の観光で訪れた教会の話から流れるように「宗論」とは!白酒さんのうまさが光ります。(この後浅草でトリを務められるとのことでちょっとショートバージョン)

●春風亭一之輔さん…「百川」…「白酒さんの落語があまりに短い、しかもマクラは悪口ばかり…」と悪口の悪口。NHKのラジオ深夜便の収録の楽屋で一緒になった米丸師匠、桃太郎師匠夫妻との噛み合わない会話の話は会場中大爆笑でした。
一之輔さん演じる百兵衛の強力な田舎訛りが炸裂です。「お見立て」といいこの「百川」といい一之輔さんの「訛り芸」はもはや名人芸と言ってもいいほどです。とにかく笑った!
仲入り
●柳家三三さん…「夏泥」…お人よしで間抜けなこそ泥が貧乏長屋で寝ていた男に「金を出せ!」と脅すがこそ泥より、一枚も二枚も上を行く男から反対に質料や利息分のお金、質入れしている着物代、果ては食事代までむしり取られる始末。すっからかんになって帰るこそ泥に男が一言「また来てね」という何ともほのぼのとした滑稽話。
「夏泥」は別題「置泥」・「貧乏者」とも言われています。もともとは「打飼盗人」という上方落語の演目だったそうです。落語には泥棒が出てくる噺が多くありますが、落語の世界では、泥棒の噺は「縁起が良い」とされています。これには「お客様の懐を取り込む」という意味が込められているそうです。他にもタヌキや幽霊の出てくる噺などもタヌキや幽霊が「化ける」ということから「上昇する」とか「成長する」という意味が込められて縁起が良い噺と言われています。こじ付けのようでもありますが、言葉で縁起を担ぐというのは、いかにも日本人らしい感じですね。

●柳亭市馬さん…「大工調べ」…ここしばらくは落語協会会長就任の挨拶が続きそうな市馬さんです。この日も、やや緊張した面持ちでご挨拶。
人の上に立つってことで今回の演目は「大工調べ」…抜けているがお人よし、親孝行の大工の与太郎は、ある日棟梁から仕事が入ったと言われるが長屋の店賃を溜めこんでしまったため大家に道具箱を差し押さえられている。それを聞いた棟梁が手持ちの1両2分を出すが、まだ8百文足りない。だが、まずは手持分だけでも払えば「御の字」だろうと言い与太郎を大家のもとへ行かせる。そこで与太郎、棟梁が言った話をそのまま「御の字」と言ったことまで大家に伝えてしまう。これを聞いた大家はカンカン。へそを曲げて残りの8百文も持ってこなければ道具箱は返さないと言う。今度は棟梁が低姿勢で大家に詫びに行くが話し合いは決裂、棟梁は大家に向かって威勢のいい啖呵を切ってしまう…

落語の世界だけでなく、こういう話の展開っていうのは、現実の世界でもよくある話ですね。ちょっとした言葉の使い方やニュアンスで感情がもつれて修復不能な事態になってしまったり…。
2011年に公開されたロマン・ポランスキー監督、ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット出演のおとなのけん」を思い出します。子供のケンカに親同士が間に入り、冷静に友好的に解決しようとするのですが、会話を重ねるに従って険悪な雰囲気になっていくばかりか、それぞれの夫婦の間でも感情的な対立が生まれ次第に収拾のつかない修羅場に陥っていくというストーリー。面白さはさることながら会話劇としての完成度の高さに感動し、上映期間中3回も観に行ってしまいました。
よく考えたらこういう会話劇というのは落語とよく似ています。
映画は4人の豪華キャストが演じていましたが、落語は一人ですべての人間を演じ分けているのですから改めて落語ってすごいなあと実感します。

by Ricophoo | 2014-07-10 21:59 | 落語 | Comments(0)

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