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ストロベリーショートケイクス

懸賞 2006年 10月 29日 懸賞

ストロベリーショートケイクス_f0036354_22352648.jpg渋谷シネアミューズに矢崎仁司監督作品
「ストロベリーショートケイクス」を観にいった。
原作 魚喃キリコさん 脚本 狗飼恭子さん
また主演が「ジョゼと虎と魚たち」の
池脇千鶴さんと聞いただけで
どんなに素敵な映画であるかが想像できてしまう。
オープニングは「私は男に引きずられたことがある」という冗談じゃないかと思わせる
セリフから始る。

本当に、パジャマ姿で去っていく恋人の足にすがりつきながら
商店街を引きずられていく主人公里子。
「好きでいてもらえるのなら、なんでもします。なんでもしますから・・」
と泣きすがったはいいが、男に「うるせぇ」と蹴飛ばされ、
鼻血を出し人々の嘲笑を受ける。
これ以上惨めで最悪なシュチエーションはない。

男に去られ、しばらく倒れていたものの
おもむろに立ち上がり、鼻血を拭きながら
スタスタと、もと来た道を戻っていく。
「死んでやろうかともおもったけど
最悪な出来事を乗り越えられたあたしには、
何だってできるような気がしたんだよ」

この主人公里子を中心としながら
都会で暮らす4人の女性の日常と空虚、充溢、倦怠、不安、焦燥
絶望、そして希望が、時折目をそむけたくなるような
痛々しさで描かれている。

映画の中で、「神様っていると思う?」と言うセリフが
何度か出てくる。

みんなみんな神様がいなくて困ってる。
ラスト近く、願い事が叶うはずの「神様」の石を
海に投げ捨てる秋代。
「神様なんて、いらないんだよ」

お金や恋人や名声が
自分を支える総てなのだろうか?
「ひとりでいても何もしなくても自分は自分」であること。
目の前の辛さや苦しみは
自分自身で戦っていくしかないのだと
「神様」を投げ捨てる秋代をみて思った。

そうか!冒頭部分は
すべての戦う女性に贈る
エールだったのかも知れない。

「ストロベリーショートケイクス」は
傷だらけになりながらも
危なげに、でもたくましく不器用に生きていく
イマドキの20代女性を等身大で
描いた名作だと思う。

里子が神様の石に祈りながら「スペシャルな人のスペシャルになりたいです」
という場面は最高に可愛かった!

映画館を出た後は
誰もがきっと
空を見上げて言うだろう

「恋でもしたいっすね~」

by Ricophoo | 2006-10-29 22:38 | 映画

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