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カポーティ

懸賞 2006年 11月 05日 懸賞

カポーティ_f0036354_23362140.jpg自由が丘のサロンへ行った後
恵比寿の東京都写真美術館へ
「コラージュとフォトモンタージュ展」を観にいった。





カポーティ_f0036354_2336476.jpg時折、遊びでコラージュの作品を作ってみたりする。
そのアイデアやヒントにもなるかと思って観にいった。
←コレは数年前の自作コラージュ



日本でも古くから「横浜写真」と呼ばれた外国人向けの
お土産にこのコラージュやフォトモンタージュが絵葉書として
使われいたらしい。
もっとポップアート的なものを想像していたので
メッセージ性の高いものも多く、難しい部分もあった。
前衛美術的要素も色濃く、
ダダイズムやキュビズム、果てはシュルレアリズムに
至るまで、その表現は様々で、実に興味深かった。

カポーティ_f0036354_23374044.jpgその後、恵比寿ガーデンシネマに
「カポーティ」を観にいった。
フィリップシーモアが
トルーマン・カポーティ役を怪演し、絶賛を浴びた作品だ。

ティファニーで朝食をなどの作品が有名な作家
トルーマン・カポーティが、ある日カンザスの田舎町で起こった
惨殺事件の新聞記事を目にすることから物語が始る。

当時人気絶頂だったカポーティは、文学の
新たなる新地を切り開く野望に燃え、
この惨殺事件を取材し、壮大なノンフィクション作品にしようと考える。

犯人の一人、ペリー・スミスは取材を続けるうち
実は、自分と同じ孤独で傷つきやすい
繊細な心を持っていることを知る。
やがて二人は人間同士として深く心を通わせていく。

ところが、この小説を執筆していくうち
殺人の動機に口を閉ざすペリーに苛立ち
死刑執行が延期になるたび小説が完結しないことに
焦燥をかくせないカポーティ。
ペリーの死を恐れながら、ペリーの死を切望する
矛盾した感情に、次第に精神的な窮地に追い込まれていく。
死刑執行が決まり、「彼を救えなかった」と呟くカポーティに
ネルが「本気で救う気なんてなかったでしょう?」とぽつり。
ペリーと関わることで、自分の闇の部分を思い知らされ、
自分と向き合うことを怖れ苦しみ続ける。

出版される小説のタイトルは「冷血」。

それは、犯人の冷徹無比な犯行、自分の中の
闇に流れる無情な血の意味を持つ・・・。

カポーティが作家として2度と大作を書けなかったのは、
『冷血』を超える作品を二度と世に出すことができない怖れのようなものも
確かに合ったに違いないが、
また、本を書くことは再びあらゆるものと深く関り合い
自分の本質とも向き合わなければならない、
その恐怖に耐えることができなかったのではないだろうか?

それにしてもフィリップ・シーモアはすごかった。
多分数年後、映画の内容は忘れても
シーモア演ずるカポーティの声は覚えているだろう。

by Ricophoo | 2006-11-05 23:40 | 映画

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