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市馬さんに夢中(その8)

懸賞 2014年 07月 19日 懸賞

f0036354_12242851.jpg7月18日国立演芸場で「7月中席 夜の部」を観てきました。
そう!もちろんトリは市馬さんです!
「さあ明日から連休だ!」という開放感全開の金曜日の夜に職場から歩いて5分の国立演芸場で大好きな市馬さんの落語を聴く!一年に1回もしくは2回ほど行われる市馬さん主任の国立演芸場での落語会、しかも最前列をゲットできる夜の部。一年間この日をどれだけ待ち望んでいたことか!私にとってはまさに筆舌尽くしがたい贅沢です!
前回に続き開口一番は、またまた柳亭市助さんだったのですが・・・会場に着いた時には既に市助さんの落語が終わる所でした。
開演18:00と言うことと、歩いて行ける気安さもあり、少し残業したのがまずかった。国立演芸場では前座の落語は開演の10分くらい前に始まるのです。私としたことが完全に失念しておりました。
本日の演目は以下のとおり
●柳亭市助さん…「出来心」
●柳亭市楽さん…「松山鏡」 
●柳家小せんさん…「あくび指南」
●江戸家小猫さん…「動物ものまね」
●柳家小のぶさん…「火焔太鼓」
●柳家小里んさん…「お茶汲み」
仲入り
●橘家團十郎さん…「ちりとてちん」
●五明樓玉の輔さん…「悋気の独楽」
●柳家小菊さん…粋曲
●柳亭市馬さん…「阿武松」
【阿武松】
能登の国〈今の石川県〉から名主の添え書をもって江戸へ出てきた長吉は京橋の観世新道の(現在の銀座1丁目〉関取 武隈文右衛門の弟子になり小車(おぐるま)という名前をもらいます。当時の相撲界は現在と制度が異なっていて現役力士でも弟子を持つことができたそうです。
小車はよく働きますが、桁外れの大飯食い。たまりかねた武隈とおかみさんはこのままでは小車に部屋を食いつぶされてしまうからと小車に一分の金を渡して故郷へ帰れと暇を出してしまいます。悲嘆にくれた小車は、ぼんやりと中山道を板橋から志村、戸田の渡しまで来ます。大食いのせいで関取になれないなんて、情けないやら恥ずかしいやら…故郷への面目も立ちません。いっそここで身投げでもと思いましたが、どうせ死ぬならもらった一分で好きな飯を腹一杯食ってからにしようと、とって返し板橋の平尾宿の橘屋善兵衛という立派な旅籠へ行き、一分の金を出して、何もいらないからお飯(まんま)だけは好きなだけ食べさせてくださいと頼みます。なにしろ今生最後の晩飯ですからその食いっぷりのすごいこと!女中からこの話を聞いた主の善兵衛がその食いっぷりを見物に来ますが、なんとなく沈んだ顔をしているのが気にかかり善兵衛は小車に話を聞きます。ことの顛末を聞いた大の相撲好きの善兵衛は気の毒に思い自分の懇意にしている錣山親方の所への弟子入りの世話をしてあげることにしました。更に食い扶持に困らないよう月に五斗俵を二俵の仕送りもしようと言ってくれます。喜んだ小車は、死なずにすむことになり、またうまそうに飯を食い続けます。
翌朝、小車と善兵衛は根津の七軒町の錣山親方の所へ連れていきます。善兵衛が小車を弟子にと頼むと、錣山は旦那さんの頼みならと小車の身体も改めずに引き受けてくれたうえ、錣山が前相撲の時の小緑というしこ名までつけてくれました。しかも善兵衛からの仕送りの申し出を断り「相撲取りが飯が食えんようなこっちゃいかん!武隈関は考え違いをしていなさる。遠慮はいらん。一日一俵ずつ食わせてもいい!」と快く小緑を弟子にしてくれました。
文化12年の12月、麹町10丁目、報恩寺の相撲の番付に初めて小緑という名前がのり、序の口すそから14枚目に小緑常吉。翌13年2月、芝西の久保八幡の番付には序二段目、すそから24枚目に躍進。その間が100日たたないうちに番付を60枚とび越したという、古今に珍しい出世です。
文政5年、蔵前八幡の大相撲に入幕をはたし、小緑改め小柳長吉になります。
初日、二日、三日と連勝。明日4日の取組みの中に、武隈と小柳とという文字が!これを見て喜んだのが師匠の錣山。「明日はお前の旧師匠、武隈関との割りが出た。しっかり働け」「へい、明日の相撲にすべりましては、板橋の旦那さんに合わせる顔がござりませんで・・・。飯(まんま)の仇 武隈文右衛門、明日は一丁、働きます!」
翌日、武隈との立ち合いが長州公の目にとまり藩のお抱え力士に召し上げられます。
その後阿武松緑之助と改名し、6代目横綱 阿武松緑之助 出世力士のお噺です。

初めて聞いた「阿武松」。市馬さんの噺が終わって緞帳が下がっても興奮と感動でしばらく立つことができませんでした。
名古屋場所の最中ということでの「阿武松」。実にタイムリーなチョイスは市馬さんのセンスの良さが光ります。まくらには得意の行司ネタや伸びのある呼び出しの声真似で、客席の心をイッキに鷲掴みです。
今年の3月場所に第71代横綱 鶴竜が誕生しましたが、この噺の主人公 阿武松緑之助は今から遡ること186年前の第6代横綱です。史実に基づいたフィクションということもあり、また主人公自体は桁外れの大食漢キャラということくらいで、性格的には地味な感じなのですが、そこはさすが市馬さん、逆に周りのキャラクターを際立たせることにより、どんどん情景が頭の中に広がっていきました。また講釈風な語りを途中に挿入することによってメリハリが効いたキリリとした噺になっていました。聞き終えた後には、まるで一大巨編の映画みたような感動に包まれていました。
素晴らしい景色や素晴らしい音楽、素晴らしい芸術に触れたとき人は自然に涙が出てくるものだと聞いたことがあります。今日の市馬さんの人情話はまさにそれでした。
気が付いたらいつの間にか涙が滲んでいました。

by Ricophoo | 2014-07-19 12:26 | 落語

よってたかって夏らくごNIGHT2014

懸賞 2014年 07月 10日 懸賞

f0036354_2244733.jpg7月5日有楽町のよみうりホールで行われた「よってたかって夏らくごnight2014 21世紀スペシャル寄席ONEDAY」を観てきました。

開口一番は、市馬さんのお弟子さんの
●柳亭市助さん…「弥次郎」…市助さんの落語を聴くのはこれで3回目となります。「とにかく大きい声を出すこと。はっきりした話し方をすること。前座のうちは笑いをとるというよりそういう基本が大切だ」という市馬さんの教えを忠実に守っている市助さんの落語は実に歯切れがよくて聴きやすい。
嘘つき弥次郎と異名をとるホラ吹き男の痛快冒険譚をテンポよく明るく陽気な笑いにして届けてくれました。聞くたびに上手くなっている市助さんの成長が楽しみです!

●桃月庵白酒さん…「宗論」…落語協会総会の悪口、先月行った欧州公演の際の飛行機の機内食の悪口…お約束の強力な毒を含んだマクラのキレは白酒さん本日も冴えていました。〈今話題の県議の泣きの演技も魅せてくれました〉そして欧州公演の観光で訪れた教会の話から流れるように「宗論」とは!白酒さんのうまさが光ります。(この後浅草でトリを務められるとのことでちょっとショートバージョン)

●春風亭一之輔さん…「百川」…「白酒さんの落語があまりに短い、しかもマクラは悪口ばかり…」と悪口の悪口。NHKのラジオ深夜便の収録の楽屋で一緒になった米丸師匠、桃太郎師匠夫妻との噛み合わない会話の話は会場中大爆笑でした。
一之輔さん演じる百兵衛の強力な田舎訛りが炸裂です。「お見立て」といいこの「百川」といい一之輔さんの「訛り芸」はもはや名人芸と言ってもいいほどです。とにかく笑った!
仲入り
●柳家三三さん…「夏泥」…お人よしで間抜けなこそ泥が貧乏長屋で寝ていた男に「金を出せ!」と脅すがこそ泥より、一枚も二枚も上を行く男から反対に質料や利息分のお金、質入れしている着物代、果ては食事代までむしり取られる始末。すっからかんになって帰るこそ泥に男が一言「また来てね」という何ともほのぼのとした滑稽話。
「夏泥」は別題「置泥」・「貧乏者」とも言われています。もともとは「打飼盗人」という上方落語の演目だったそうです。落語には泥棒が出てくる噺が多くありますが、落語の世界では、泥棒の噺は「縁起が良い」とされています。これには「お客様の懐を取り込む」という意味が込められているそうです。他にもタヌキや幽霊の出てくる噺などもタヌキや幽霊が「化ける」ということから「上昇する」とか「成長する」という意味が込められて縁起が良い噺と言われています。こじ付けのようでもありますが、言葉で縁起を担ぐというのは、いかにも日本人らしい感じですね。

●柳亭市馬さん…「大工調べ」…ここしばらくは落語協会会長就任の挨拶が続きそうな市馬さんです。この日も、やや緊張した面持ちでご挨拶。
人の上に立つってことで今回の演目は「大工調べ」…抜けているがお人よし、親孝行の大工の与太郎は、ある日棟梁から仕事が入ったと言われるが長屋の店賃を溜めこんでしまったため大家に道具箱を差し押さえられている。それを聞いた棟梁が手持ちの1両2分を出すが、まだ8百文足りない。だが、まずは手持分だけでも払えば「御の字」だろうと言い与太郎を大家のもとへ行かせる。そこで与太郎、棟梁が言った話をそのまま「御の字」と言ったことまで大家に伝えてしまう。これを聞いた大家はカンカン。へそを曲げて残りの8百文も持ってこなければ道具箱は返さないと言う。今度は棟梁が低姿勢で大家に詫びに行くが話し合いは決裂、棟梁は大家に向かって威勢のいい啖呵を切ってしまう…

落語の世界だけでなく、こういう話の展開っていうのは、現実の世界でもよくある話ですね。ちょっとした言葉の使い方やニュアンスで感情がもつれて修復不能な事態になってしまったり…。
2011年に公開されたロマン・ポランスキー監督、ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット出演のおとなのけん」を思い出します。子供のケンカに親同士が間に入り、冷静に友好的に解決しようとするのですが、会話を重ねるに従って険悪な雰囲気になっていくばかりか、それぞれの夫婦の間でも感情的な対立が生まれ次第に収拾のつかない修羅場に陥っていくというストーリー。面白さはさることながら会話劇としての完成度の高さに感動し、上映期間中3回も観に行ってしまいました。
よく考えたらこういう会話劇というのは落語とよく似ています。
映画は4人の豪華キャストが演じていましたが、落語は一人ですべての人間を演じ分けているのですから改めて落語ってすごいなあと実感します。

by Ricophoo | 2014-07-10 21:59 | 落語

市馬さんに夢中 (その7)

懸賞 2014年 07月 06日 懸賞

f0036354_1314663.jpg6月25日なかのZEROホールで「市馬・喬太郎 ふたりのビックショー改め みんなのビックショー」を観てきました。

開口一番は前座の さん坊さんで「牛ほめ」

●三遊亭 天どんさん「よかちょろ」…一之輔さんが、まだ真打に上がる前の天どんさんを何度も高座でいじっていたのと、天どんさん作の「サンタ泥」を披露して爆笑させてもらったのをきっかけに、まだ見ぬ「天どん」さんに期待が膨らんでいましたが、なかなかこの日まで天どんさんの落語を聞く機会には恵まれませんでした。しかしようやく本日「初天どん」。初めて天どんさんの落語を聞くことができました。
落語もさることながら、その風貌と独特の味わいのある雰囲気は、期待以上のものでした。特にいきなり「大きなおにいさん~♪」と危ない雰囲気で歌いだした時はどうなることかと会場中を不安にさせましたが、その後の「みんなのビックショー」のムードを一気に盛り上げる導火線となったのは言うまでもありません。

●寒空 はだかさん 真空ギター漫談「東京タワーの唄」…落語会のチラシで何度かそのインパクトのあるお名前だけは知っていましたが、すべてを超越して振り切った感がある真空ギター漫談。すごいものを見てしまった(聞いてしまった)という感じです。この「みんなのビックショー」には連続10年も出場されているとのこと。
見た目はまだお若いのかと思っていましたが、こういう芸を長く続けていらっしゃる寒空はだかさんという存在を今まで知らなかった自分を深く反省しました。
「東京タワーの唄」そして「バカの壁」は聴いてしまった人たちの頭に呪いをかけるかの如く、いつまでもいつまでも手ごたえのないふわふわした感覚で頭の中でリフレインを繰り返しています。しかし寒空はだかという名前、すごいです。はだかさんって口にするのが少し恥ずかしい。

●柳家 喬太郎さん 「すみれ荘201号室」…喬太郎さんの新作落語はいつ聞いても大爆笑。
そして少しノスタルジックで少し切なさを感じさせます。
80年代の若い女性を演じるときの喬太郎さんのリアル。ぞくぞくします。
おなじみのあの名作「東京ホテトル音頭」や「イメクラ音頭」も披露して下さり「みんなのビックショー」は更に盛り上がり佳境に入っていきます。

仲入り

●ぺぺ桜井さん  ギタージョーク…クラシックの演奏家を目指して本格的にギターを学んだというペペ桜井さん。天どんさん、はだかさんと同じく今回お初にお目にかかりました。
通常のギター漫談のレベルをはるかに超えた演奏技術とちょっと寒いジョークとのギャップがたまりません。ビートたけしさんがテレビで浅草時代を語るとき必ず、このペペさんがでてくるというほど、古き良き時代の寄席を語るうえでなくてはならない存在なのかなと思います。時間の進み方が早すぎる現代において、昭和のゆっくりした時間の流れを思い出させてくれるようなぺぺ桜井さんのギタージョークに癒されます。

●柳亭 市馬さん 「片棒」…前回更新したブログ記事にも書かせて戴きましたが、この日の市馬さんには神様が降臨していました。
市馬さんの噺の面白さは言うまでもありませんがこの日は、リズムといい間合いといい勢いといいすべてが完璧に重なり合って一つの世界を紡ぎだしていました。市馬さんにより観る者、演じる者そして片棒という二次元の世界が一体化され融合され爆笑という形で会場中を包み込んでいました。

【片棒ケチで身代を築いた大店の主人。3人の倅がいるが誰に跡を継がせるかが頭痛の種。
仮想の自分の葬式で3人がどう振る舞うかを一人一人自室に呼んで聞いてみることに。
道楽者の長男はこれだけの大店に恥ずかしくない葬式を開くと言う。
派手に金を使い、見栄を張ることばかりを考える。東京中の名刹から僧侶を集めて読経の大合唱、参列者には一流料亭製の弁当を土産にお車代まで用意すると言う。こんな派手な金遣の息子にはとうてい跡は継がせられないと怒り心頭の主人。
お調子者で祭好きな次男はさらにど派手な葬式を開くと言う。「お練り」に始まり、東京中の鳶頭百人による「木遣り」そして芸者衆の手古舞に続き、終いにはケチな父親が算盤をはじく からくり人形を設えた山車が出るという。そして骨壺を中に収めた神輿を町内みんなでワッショイワッショイ!最後に骨壺を花火で打ち上げて隣町内の奴らと取り合うなどという。これじゃ死んでも死にきれない。
すがる思いで三男に話を聞くと、葬式なんぞに金は掛けたくないという。できれば「鳥葬か風葬が望ましい」とまで。これを聞いた主人は三男を頼もしく思うが…それもちょっとなあ。質素でいいから形だけはつけておくれと懇願する主人。 
それならば仕方なく葬式を出すが出棺時間を予告なしに早め参列者に振る舞う酒や弁当なども節約し、棺桶はもったいないので菜漬けの樽を利用するという。人足を雇うお金ももったいないので焼き場へ運ぶ前棒は自分で担ぐという徹底したケチぶり。しかし、後棒を担ぐ人を雇わないといけないと項垂れたところ、樽に入るはずの主人がすかさず「わたしが担ぐ!」


「葬儀」というタブーを逆手に、とことん茶化した「片棒」という話、馬鹿馬鹿しさとシュールさのバランスが大好きです。笛や太鼓や鐘、御輿の掛け声などリズミカルでテンポある部分、「木遣り唄」など市馬さんならではの見せ場も存分に楽しめるところが最高です。

by Ricophoo | 2014-07-06 12:50 | 落語

おめでとう!市馬さん

懸賞 2014年 06月 26日 懸賞

f0036354_2384343.jpg落語協会会長を退任した柳家小三治師匠の後を受け、25日の総会で柳亭市馬師匠が落語協会発足以来最年少での会長に就任しました!
前会長の小三治師匠は市馬さんを評して「心の風通しがいい。腹に何かもっているということを感じることがない」また「〈落語は〉個人芸ですから人間と芸がいいと尊敬される。市馬は上からも下からもどこかで尊敬されている人だから」と抜擢の理由を語っています。
「わからないことは先輩方に大いに相談し、若い人たちにいい指針を与えられるような舵取り役になりたい。」とは就任後の市馬さんのインタビューでの弁。

「心やましきものは噺家になるな」とは、師匠小さんの名言です。
私は市馬さんを知ってからまだ1年半ほどしか経っていませんが、落語はもとより、ほかの落語家さんや芸人さんたちと交わす軽妙なやりとり、またテレビでゲストを迎えての市馬さんのちょっとしたしぐさや柔らかい物腰からは、市馬さんの人間的な素晴らしさ、またお弟子さん達との小さなエピソードからは真っ直ぐで温かい人柄が感じられ、市馬さんのことを知るたびにますますファンになっていきました。

「芸は人なり」とはまさに市馬さんを評した言葉ではないでしょうか?昭和歌謡を通して談志師匠にもずいぶん可愛がられたとも聞きます。歌を味方につけ、市馬さんの優しい人柄は、年齢を問わず、流派とかそんないろいろなしがらみを越えて多くの人々の心を引き付けて止みません。

実は25日の夜 中野zeroホールで行われた「市馬・喬太郎 ふたりのビックショー改め みんなのビックショー」を観て行きました。

もちろん市馬さんがトリ。今日の演目は「片棒」。

いやあすごいのなんのって!市馬さんの上に落語の神様が降臨してました。

「完璧な笑い」というものがあるとしたら、まさしくこの日の「片棒」はそれ以外の何物でもなかったです。

死ぬほど笑いました。嘘じゃなく。

市馬さん落語協会会長就任、その記念すべき夜に中野で神様の落語が聞けました。

「まだ手がけたい噺がいっぱいある。噺家として精進することを会長職を理由に怠ることは絶対すまいと思っています。」就任後の市馬さんの言葉です。

市馬さんと落語協会の益々の発展に自ずと期待が膨らみます。

市馬さん頑張って!

by Ricophoo | 2014-06-26 22:41 | 落語

春のスペシャルロングバージョン よってたかって、八通り

懸賞 2014年 05月 07日 懸賞

f0036354_2291655.jpg4月12日 有楽町の読売ホールで恒例の「春のスペシャルロングバージョン よってたかって、八通り ~お題は入学OR卒業~」を観てきました。

開口一番は
三遊亭兼好さん【元犬】…前座噺とも言われている元犬を実力派の兼好さんで聴くとまた一段と話に深みが出てきます。ご隠居さんが変わり者の白の事を「本当におもしろい人だね~!」と褒めると「さっきまで頭も白かったんです」というサゲにはびっくり!こういうオチもあるんですね~。新鮮でした。

春風亭百栄さん【弟子の強飯】…今まで百栄さんの本当の魅力を知らなかった自分を反省した一席でした。栄枝師匠に入門するまでのエピソードをマクラに自然と本題に引き込んでいく巧さには舌を巻きました。圓生師匠が乗り移ったような名人然とした話しぶりと身のこなし、まるで噺家になるために生まれてきたような高校生をスカウトにくる落語の師匠の噺で会場中は大爆笑。百栄さんの人気の秘密に納得の一夜となりました。

桃月庵白酒さん【喧嘩長屋】…夫婦喧嘩の仲裁に入った人間が次々と喧嘩に巻き込まれていく滑稽話。白酒さんでは2度ほど聴いたことがあります。これはもう白酒さんの十八番ですね。

三遊亭白鳥さん【ラーメン千本桜】…公園で屋台のラーメン屋を細々と営む主人公のオヤジはライバル達の策略で、ラーメンチェーンの実業家の兄とは現在絶縁関係となっている。父親の作った味を守ろうとラーメン日本一を決めるイベントに怪我をした兄の代わりに出場することになったがライバルやスパイの妨害に合い……というストーリー。昭和の吉本新喜劇を彷彿とさせるような、ベタな少年マンガっぽいテイストがファンには堪らないところでしょうか?

仲入り

春風亭一之輔さん【らくだの子ほめ】…大作「らくだ」を演じるとみせかけて「子ほめ」にシンクロ。一之輔さんの大器ぶりを垣間見た瞬間でした。もうすごいとしか言いようがない!

瀧川鯉昇さん【茶の湯】…日々の退屈さから、なにかお稽古事をはじめたいと考えたご隠居。思いついたのがかねてから興味のあった「茶の湯」。だれに習うこともなく、記憶をたよりに小僧の定吉とともにお茶をはじめてみますが「はじめに入れる青い粉」が何なのかすらわからない始末。奇妙きてれつな茶の湯で悦に入っていたご隠居と定吉はへんなお茶もどきを飲みすぎて、ついには腹痛をおこしてしまいます。
どうにも気持ちの悪いお茶の飲みっぷりはさすがの鯉昇さん!こちらまで気持ちが悪くなってきます。

柳亭市馬さん【あくび指南】…あくび指南所ができたと聞いて入門したい八五郎だが一人で行くのははずかしい。友達にそばにいるだけでいいからと頼んでついて来てもらう。さっそく師匠に習い四季のあくびのけいこ。教わった通りやろうとするが、ぎこちなくてなかなかできず師匠が何度もやって見せていると、しびれを切らせた友達が「くだらねえものを稽古してやがる。待ってる俺の身になってみろ、退屈で退屈で、ああ、退屈でならねえや」と自然にあくびが出てしまう・・・。あくび指南所とは実にシュールです。江戸時代にはいろんな変わった商売があったそうで、「猫の蚤取り」やら「喧嘩指南所」部屋の中で教える「釣り指南所」とか…江戸時代の自由でユニークな発想には感服します。
市馬さん盤石の一席。

柳家三三さん【明烏】…堅物の日向屋の若旦那の時次郎。ある日 町内のワルの源兵衛と太助に誘われ観音様裏のお稲荷さんへお籠りに行く。だがこれは堅物の息子を心配する親父が二人に頼み込んで時次郎を吉原へ連れ出す作戦だった…。テンポよく進んでいくストーリー展開。堅物の時次郎が一晩ですっかりフヤケてしまう変化がよく描かれていました。三三さんの軽妙な語り口とキレの良さが光る堂々のトリの高座でした。

by Ricophoo | 2014-05-07 22:05 | 落語

柳亭市馬の演芸図鑑

懸賞 2014年 04月 30日 懸賞

f0036354_23492816.jpgNHK総合テレビで4月から装いも新たに「柳亭市馬の演芸図鑑」が始まりました。

毎週日曜日の午前5時15分からのオンエア。
日曜日の早朝 誰も起きとらんだろう!とツッコミを入れたくなるようなシルバータイムですが、これは私のために国営放送が用意してくれた夢のプレゼント!(長年受信料を払い続けてきた甲斐がありました!)
眠い目をこすりながらの早起きも何のその!5分前にはテレビの前で待機し、番組放送中は正座で視聴いたしております。




「柳亭市馬の演芸図鑑」は落語を始めとして漫才に漫談、コント、果ては浪曲や講談、マジックまで演芸界の選りすぐりの至芸を市馬さんのナビゲートでしっかり堪能させてくれる演芸ファンには堪らないプログラムになっています。

オープニングには落語に関するちょっとした豆知識などを前座の頃の経験などを交えながら市馬さんが披露して下さるのでファンにはうれしいところです。

前半は漫才や漫談、コントなどの演芸のコーナー。(4/27は「めおと楽団ジキジキ」さんでした)

その後 落語が一席。 (この日は柳家喜多八さんの「替り目」)

後半はゲストを迎えての対談コーナーです。(この日は吉川潮さん)

毎回ゲストの方と市馬さんの味わい深いトークには思わず引き込まれてしまいます。
(この日は二代目廣澤虎造や柳家三亀松などのような今の社会では許されない破天荒な芸人についてのお話等)演芸や落語についての造詣が深まります。
トークの中では普段の高座では見られない市馬さんの表情やしぐさも見ることができ、市馬さんファンにとってはスペシャルな至福の30分間です。

テレビではじっくりと落語を聞かせてくれる番組がないので、こういう番組は希少です。
落語をあまり聞いたことがないという人にも是非見ていただいて
次につながるきっかけになればいいなあと思います。
その前に放送時間帯をなんとかしてもらわなければ。

by Ricophoo | 2014-04-30 23:15 | 落語

落語協会[真打襲名披露興行]

懸賞 2014年 03月 23日 懸賞

f0036354_1471314.jpg3月21日上野鈴本演芸場の下席(夜)初日を見に行きました。

この日はちょうど落語協会の真打襲名披露興行が行われるということで、会場はほぼ満席でしたが、運良く前から6列目位に座ることができました。

今回真打に昇進するのは
柳家小権太あらため3代目柳家東三楼さん(37)。
鈴々舎風車あらため4代目柳家三語楼さん(38)。
三遊亭亜郎あらため三遊亭究斗さん(51)。
古今亭志ん公あらため5代目古今亭志ん好さん(37)。
桂才紫あらため3代目桂やまとさん(39)の5人です。

こうして皆さんの年齢を見てみると、大体、落語家になろうと師匠の門を叩いて真打になるまで15、6年ほどかかるのが一般的なようですね。

しかし良く見ると三遊亭究斗さんはなんと51才!どうしてまた?と思って調べてみると彼はあの劇団四季のミュージカル俳優を10年もなさっていたという変わり種。

前職がサラリーマンだったという方は結構いらっしゃいますね。
三遊亭歌武蔵さんが元力士、その他にも元僧侶なんていう方もいらっしゃるようです。

「ミュージカル落語で日本中に名を轟かせたい」
先だって行われた襲名披露の会見での究斗さんの弁。
どんな落語になるのか期待が膨らみます!

真打昇進襲名披露興行は、この3月21日の上野鈴本演芸場を皮切りに、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、そしてラストはの5月の国立演芸場まで50日間に渡ります。

21日はその襲名披露興行のまさに初日、本日は他の四人に先駆けて柳家東三楼さんの登場です。

当然ながら真打ですからあとにも先にもこれが人生初のお披露目の舞台です。

どんなお気持ちでトリの舞台を待っていらっしゃるのかと思うと次第に緊張感が高まってきます。

ちなみに柳家東三楼さんの師匠は柳家権太楼さん
柳家三語楼さんの師匠は鈴々舎馬風さん
三遊亭究斗さんの師匠は三遊亭円丈さん
古今亭志ん好さんの師匠は志ん橋さん、
桂やまとさんの師匠は桂才賀さん 
ということで、この日は襲名披露の花向けに各師匠や兄弟子の方々が出演されているとあって、なかなか普段では聴けないプログラムとなっていました。

●三遊亭 美るくさん・・・【元犬】良く通る声と溌剌とした話しぶりに元気をもらえます。女性の前座さんは気のせいか「元犬」を演じることが多い気がします。その中でも美るくさんの「元犬」は可愛らしさが際立っています。

●柳家 甚語楼さん・・・【黄金の大黒】店子達が大家の家に羽織を借りて代わる代わる口上を言いに来るところまでの短縮版。元々は上方のネタだそうですが、廃れていたこの噺を掘り起こして磨きをかけたのが若き日の立川談志師匠なのだとか。

●松旭斎 美智・美登さん・・・【マジック】美智さんの結び目のマジックはいつ見ても華があります。美登さんがいるのに、客席のおじさんを2人もアシスタントとしてこき使う美智さんのキャラの強さに脱帽。

●古今亭 志ん輔さん・・・【替り目】NHK「おかあさんといっしょ」のコーナーで志ん輔さんが、ぶたくんとへびくんを使ってマペットモペットの先駆けみたいな事をやっていたのは、もう20年以上前になるでしょうか?当時の幼児や保護者からは、熱狂的な支持を受けていた志ん輔さん。20年ぶりの志ん輔さんとの再会です。落語を聴くのはこれが初めてですが、そのずば抜けた巧な話術とベテランの風格に時を超えて再リスペクトです。

●鈴々舎 馬風さん・・・この方も落語というよりテレビでの活躍が有名ですね。豪放磊落な印象そのままの高座でブラックジョークや友人知人のネタを交えながら「話に引き込む」技術、「笑わせる」技術はさすが落語協会前会長の成せる技!

●入船亭 扇辰さん【道灌】・・・前座噺とよく言われている「道灌」ですが、大御所クラスも好んで演る噺です。やはり基本がきちんと出来ていないと面白い話のオチには辿りつけません。そこはさすがの扇辰さん、柔らかで落ち着いた雰囲気と端正な口調、繊細な演技力とその格調高さには舌を巻きます。

●にゃん子・金魚さん【漫才】・・・ご存知すず風にゃん子・金魚さん!お約束、いつものネタでいつもの笑いをとっていました。同じネタでも「爆笑」させる圧倒的な雰囲気作り。ベテランの味わいです。

●三遊亭 圓丈さん【創作落語】・・・落語の「桃太郎」の流れで「三匹の子ブタ」が入りつつ「シンデレラ」まで入り乱れる圓丈さん得意の創作の妙が光ります。この圓丈師匠の創作落語と弟子の究斗さんのミュージカル落語の融合は落語ファンならずとも期待が膨らみます。

●林家 木久扇さん・・・笑点でもお馴染みの木久扇さん。日本中でお年寄りから子供まで一番愛されている落語家といえば木久扇さんではないでしょうか?「おバカキャラ」を売りにしている木久扇さんですが最近は「もしかしたら本当にすこしボケが始まっているのかも?」という不安に駆られる時がありますが、笑点での裏話、入門したころの思い出や彦六師匠とのやり取りなどをモノマネを交えながら客席を爆笑させていらっしゃいました。(まだ大丈夫)

●柳家 権太楼さん【代書屋】・・・権太楼さんの鉄板ネタ「代書屋」を存分に堪能しました。落語ファンなら一度はこれを聴かなきゃ権太楼さんを語れません。わかりやすさと独特のリズム、小細工なしの笑いを真正面からぶつけてきます。今日のトリを務める弟子の東三楼さんに「これが落語の真髄だ!」とばかり力強い爆笑落語を見せつけてくれました。

仲入りを終え、幕が上がるといよいよ真打昇進襲名披露口上です。

幕が上がり 左から、市馬さん(落語協会副会長)、木久扇さん(落語協会相談役)、中央に主役の東三楼さん、その横に師匠の権太楼さん、馬風さん(落語協会前会長)と黒紋付でずらりとならび口上を述べていくのですが、真打昇進の本人はその間ずっと頭を下げています。

市馬さんの祝いの相撲甚句あり、権太楼師匠の語る「東三楼」の名前にまつわる裏話あり、木久扇さんのモノマネあり(宇宙人ネタもやってくれました)で寿いだ中にも笑いに包まれた温かい雰囲気の披露口上となりました。

最後は東三楼さんの挨拶のあと、観客を交えての三本締めで終わりました。

●三遊亭 歌る多一門【松づくし】・・・今年はこの歌る多一門の松づくしを見るのは3度目になります。松の名所を並べておめでたい数え歌にしたもので三味線の音色に合わせ松の扇子を操りながら踊る粋な曲技です。

●柳亭 市馬さん【出来心】・・・市馬さんファンを自認する私としたことが今年は市馬さんの落語を聞く機会がなかなかありません。反省しきりです。市馬さんの演じる泥棒の弟子は、ちょっと知的な感じがしました。欲を言えばもっと間抜け感じがあってもよかったかなと。

●林家 正楽さん【紙切り】・・・今日のお題は「はね馬」、「東三楼師匠と権太楼師匠」、「東京音頭」、「上野の花見」、「正楽さん」。客席からの難問にもめげずに今日も完璧に応えてくださいました。

●柳家 東三楼【幾代餅】・・・この噺は米屋の奉公人の清三が吉原の花魁 幾代太夫の錦絵を観て一目惚れしたことで始まる「幾代餅」ですが、主人公の奉公先が「紺屋」(染物屋)で花魁の名前が「高尾太夫」になれば「紺屋高尾」という噺になりますが「幾代餅」が本当なのかなと思います。というのも、幾代餅は元禄17年に創業した西両国の小松屋で実際に売られていた餅菓子なのだそうです。車頭の喜兵衛が吉原河岸見世の遊女・幾世太夫を妻に迎え両国橋の西詰で幾世自らが焼いた餡入りの餅菓子を「いくよ餅」と名づけて売りだしたのが始まりで街中の評判となって偽物まで出回ったと言われています。

どちらにしても正直に一生懸命やれば未来が開けるという、おめでたいお話です。

東三楼さんの良く通る声とキレのある話しぶり。真打襲名披露初日のトップバッターを務める東三楼さんの緊張感がいい意味で伝わってきた一席でした。

失礼ながら、今まで小権太さんの落語を聴く機会はありませんでしたが、東三楼襲名披露の現場(一世一代の晴れの舞台)に偶然にも立ち会うことができ、嬉しく思うとともに、これも何かのご縁。
これを機会に柳家東三楼さんのご活躍を見守りながら、応援していきたいと思います。

by Ricophoo | 2014-03-23 13:20 | 落語

我らの時代 落語アルデンテⅧ 鯔背(いなせ)アルデンテ

懸賞 2014年 03月 15日 懸賞

f0036354_23374270.jpg2月22日 日本橋・三井ホールにて「我らの時代 落語アルデンテⅧ 鯔背(いなせ)アルデンテ」を観てきました。
鯔背と書いて「いなせ」と読むんだそうです。
巷では、ちょっと小洒落た人に向って「粋でいなせだね~」なんて言ってみたりしますが、「いなせ」と言うのは実は「威勢がよくさっぱりとした気っ風」という意味なのだそうです。
鯔背の「鯔(いな)」は魚の「ぼら」の幼魚のことで、この「ぼら」の背びれが江戸時代 日本橋の魚河岸の若者たちの間で流行した髷の形に似ていたため、その威勢のいい若者たちの気っ風を「いなせ」と呼んだことからきた言葉だということです。
今日は江戸落語を牽引する人気噺家4人が、どんな粋で鯔背な噺を聴かせてくれるか楽しみです。
開口一番は、
●春風亭一力さん『たらちね』・・・落ち着いた話しぶりがなかなかどうして。

●春風亭百栄さん『ジャム浜』・・・マクラは「落語家インタビュー」から入り「実はまだ何をやろうか考えてないのですが・・」と始まった時、「三題噺」キタ~って感じでした。そして言わずもがなの「芝浜」ならぬ「ジャム浜」。う~ん(;´д`)好きな人には堪らない十八番なんでしょうね~。

●三遊亭兼好さん『片棒』・・・今年の兼好さんはやはり何かが違う!落語の神様が降臨してきたかのようなしゃべり。いつまでも兼好さんの噺を聞いていたい!そんな気分にさせられます。面白いのは言うまでもありませんが、彼の表情、噺が印象深く心に残ります。

●春風亭一之輔さん『お見立て』・・・前回の一之輔さんの独演会で聴いたのと同じ演目「お見立て」でしたが前回の方が時間もたっぷりあったので一之輔ワールドが炸裂でしたが、今回は短縮版でサラリと。この話は、もはや一之輔さんの代表作と呼んでもいいような気がします。完成度が高い!

●桃月庵白酒さん『禁酒番屋』・・・久しぶりの白酒さんでしたが、やはりトリを務めるのはこの人しかいない!
【禁酒番屋】禁酒令が出たある藩のお屋敷、禁を破り酒を持ち込む者が多くなったため屋敷の番屋で監視することになった。客に頼まれた酒屋がなんとか分からないように屋敷に酒を持ち込もうと苦心を重ねるが、全て役人に見つかり、飲まれてしまう。最後の手段で、一升瓶におしっこをいれて「小便です」と正直に言って屋敷に乗り込む。役人は酒屋が、また嘘をついていると思い込み一升瓶を奪い取り検分と言いながら飲んでしまう・・・。
いつものことながら、シレっとした顔で強烈な毒を吐く白酒さんの落語は病みつきになります。「禁酒番屋」はまさに毒を以て毒を制す白酒さんにぴったりの噺です。自分にとっての面白さを常に追求されていて、落語初心者でも落語通でも関係なく常に爆笑させる古典をハイレベルに提供してくれるのはさすがとしかいいようがありません。

この「鯔背(いなせ)アルデンテ」はホール落語には珍しいワンドリンク付。
開場時にビールやカクテル、ソフトドリンクなど好みの飲み物を受け取ります。そしてなんと自席まで持ち込むことができるというから驚きです。飲みながら落語を堪能できるという文字通り粋で鯔背な落語会でした。私は瓶入りのピニャコラーダを飲みました。落語が終わった後また飲もうと、一口残しておいたピニャコラーダ。禁酒番屋を聴いてから飲むのには勇気が要りました。ビールでなくてよかったです。

by Ricophoo | 2014-03-15 23:26 | 落語

落語2014

懸賞 2014年 02月 11日 懸賞

f0036354_232204.jpg2014年の初席は、ちょっと遅い1月9日の浅草演芸ホールの顔見世興行でした。

お正月にこちらへ来ていた母を連れて昼過ぎから、いざ浅草へ。
私たちはお昼すぎから、2時間半ほどしか観ませんでしたが、その気になれば、入れ替え制ナシなので、なんと朝9時から夜9時までの約12時間、総勢80人位の芸人さんの舞台を堪能できます。
木戸銭たかだか3000円ほどで12時間もお笑いを楽しめるなんて、なんという贅沢!元旦から10日までそれが連日(6~10日は朝10時から)行われているなんて落語ファンにとってはまさに悶絶モノです。
とは言っても80人もの芸人さんが出演されるのですから、一人の出演者の持ち時間は5分~7分ほど。なので落語1席しっかり聞かせて貰える余裕はありません。
殆どがマクラや小噺に終始されます。それでも入れ代わり立ち代り舞台に上がる噺家さんたちの噺はどれも面白く、母も私も大満足。

紙切りの二楽さんから始まり、三遊亭歌武蔵さん、林家正蔵さん、蜃気楼龍玉さん、古今亭志ん陽さん、林家三平さん、柳家小里んさん、松旭斎美智、美登さん、柳亭市馬さん、三遊亭歌る多さん、柳家喜多八さん、昭和こいるさん、春風亭一之輔さん、三遊亭若圓歌さん、鈴々舎馬風さん、三遊亭小円歌さん、三遊亭圓歌さん、柳家小ゑんさん、柳家喬太郎さんをラストに切り上げてホールをあとにしました。

母と私が特に気に入ったのは、もちろん市馬さん、三遊亭歌る多姐さんの「松づくし」と三味線、林家三平さん、柳家喬太郎さんです。市馬さんは短い時間の中で、お正月らしく、おめでたい相撲甚句など自慢の喉を余すところなく披露して下さいました。
三平さんの噺は初めて聞きましたが、とても面白く印象に残りました。とにかく元気があって華がある。やはり血筋なのでしょうか?出てこられると舞台がパーっと明るくなりますね。
喬太郎さんの噺は言わずもがな文句なく面白かったです。

顔見世興行は初体験でしたが、短いながらも、いろんな噺家さんの噺を聞けるのが、なんと言っても顔見世興行の最大の魅力でもあります。今年の初席が浅草演芸ホール初席顔見世興行になったというのも、何かの思し召し。今年はどんな落語家さん達との出会いがあるのか?一年を占う意味でも私の2014落語ライフの幕開けとしては最高の初笑いとなりました。

1月25日には有楽町よみうりホールで行われた「よってたかって新春落語 ~夜の部」へ行ってきました。
開口一番は
●入船亭ゆう京さん【道具屋】

●柳亭市馬さん【雛鍔】…市馬さん演じる金坊の軽妙な悪ガキ振りが笑わせます。

●三遊亭兼好さん【一分茶番(権助芝居)】…今年の兼好さんは何かが違う!飄々とした感じが魅力の兼好さんでしたが、声の感じも話の間合いも雰囲気までもが、なにか重厚感漂うベテランの味わい。権助のすっとぼけ振りがとにかく面白い!今年は兼好さんから目が離せません!

●春風亭一之輔さん【普段の袴】…脱力系の入りから、いつもの毒あるマクラでつかみはOK。一之輔さんすでにベテランの風格、安定感があります。

●柳家三三さん【橋場の雪】…初めて聴く粋で艶っぽい噺でした。雪の降る隅田川沿いの橋場の情景が目に浮かんでくるようでした。


2月7日には、一之輔ファンの友達に誘われて、なかのZEROホールで行われた春風亭一之輔さんの独演会「一之輔のすすめ、レレレレレレレレ。」に行ってきました。

開口一番は
●入船亭小辰さん【代脈】…江戸落語の草創期からあった古い与太郎噺。小辰さん声がはっきりしてとても聴きやすかったです。一之輔さんの大学(日芸)の後輩だそうです。

●春風亭一之輔さん「粗忽の釘」…今世間を賑わせている音楽家の話題を一之輔さん独特のキツイ毒吐きで先制パンチ。粗忽の釘は、サゲまで行かずに、夫婦の馴れ初めやノロケ話で弾けまくり!犬のペロの登場、土星踊りまで出てきた時点で、古典の名作をもはや創作落語の域にまで昇華させてしまいました。

●おしどりさん 音曲漫才(針金芸)…大阪から移住してきたという、珍しい針金を即興でいろんな形にして見せてくれる夫婦漫才。旦那さんのふにゃキャラは芸人として天性の強みかと思いきや、なぜか奥さんの弾くアコーディオンと併せて、もの悲しさを増幅させています。

●春風亭一之輔さん【お見立て】…吉原の遊女が気に入らない客を追い返そうと若い衆に「病気」だの「入院した」だの「死んだ」だのと嘘をつかせます。しかし、それにひるむことない田舎者のお大尽のすっとぼけ振りにお腹を抱えて笑ってしまいました。

2月9日には池袋演芸場二月上席 昼の部へ行ってきました。
出演者は、すず風にゃん子、金魚さん(漫才)、三遊亭多歌介さん、林家うん平さん、三遊亭歌る多さん、入船亭扇遊さん、江戸屋子猫さん(ものまね)、川柳川柳さん、三遊亭歌橘さん、アサダ二世さん(マジック)、三遊亭歌之介さん

市馬さんが3時半頃に出演する予定だったので、雪の残る中、はるばる池袋まで見に行ったのですが、急遽出演者変更!!市馬さんに代役が・・・しばらくショックが隠せませんでした。
私のこの心の空洞を埋めてくれる芸人さんは果たしているのでしょうか?

なんと!それは信じられないことに川柳師匠とアサダ先生でした!

今日はお二人共とにかく冴えていました。特に川柳師匠が良かった!
高校野球の行進曲を取り上げて吐きまくる毒が見事です!あんなに客席の心を掴み、会場中を爆笑の渦にしてしまった川柳師匠を見たのは初めてです。83才にして更に新境地を開いた感じです。進化を続ける川柳師匠から目が離せません。

アサダ先生のお約束、得意のぼやきも健在でした。もつれたロープにイライラして途中でやめてしまう始末。「冬は脂っけがなくなるから手品がやりにくい」と言いつつ、しかし最後は見事なトランプのマジックできっちり決めて下さいました。やっぱりアサダ先生好きだなあ!

笑う門には福来る!今年もたくさん落語を聴いて、たくさん笑って楽しい一年にしたいと思っています。

by Ricophoo | 2014-02-11 23:15 | 落語

市馬さんに夢中(その6)~「年忘れ 市馬落語集」

懸賞 2013年 12月 30日 懸賞

f0036354_0331910.jpg今年1月初めて市馬さんの落語を聴いてからというもの落語の面白さに目覚めて、暇があると寄席通いの日々。
そしてとうとう挙句の果ては大阪まで上方落語を聴きに行く始末。
一年を通して文字通り落語三昧の日々を過ごしました。

そうなると2013年 今年の落語の締めくくりは、やはり市馬さんでしょう!

ということで、12月26日 新宿文化センター大ホールで行われた「年忘れ 市馬落語集」を堪能してきました。
今日のお供は一之輔さんファンの落友 ○木ちゃん。

毎年恒例となっているこの「年忘れ 市馬落語集」。これを聴かないと年を越せないという熱烈市馬さんファンもいるとかいないとか・・・。(私だけ?)
この「年忘れ 市馬落語集」お客さんはもちろん市馬さんの落語を聴きに来ているのですが、もうひとつのお目当ては後半の歌謡ショーです。

市馬さんを語る上でポイントとなるのが歌謡曲。
昭和歌謡をこよなく愛する市馬さんは、高座でも歌うことが多く、冬の噺「掛取り」を三橋美智也メドレーに乗せて披露する「掛取り美智也」はファンの間では有名な演目です。
その歌謡曲好きが高じて日本歌手協会の会員に選ばれたほどの腕前です。
CDも発売していて、落語家でありながらプロの歌手でもいらっしゃいます。

そんな市馬さんの「年忘れ 市馬落語集」は二部構成。
一部は落語、15分の中入りの後、二部の歌謡ショーです。

一部が始まり、前座さんかと思いきや、開口一番は、いきなり市馬さんの登場です。

●柳亭市馬「三十石夢の通い路」…船頭唄をたっぷり聞かせてくれる三十石。伸びやかな唄声は市馬さんの魅力全開の演目です。つまりは歌謡ショーの為の「喉慣らし」とお見受けしました。

●春風亭一之輔「浮世床」…市馬さんの後で演りにくいとか愚痴を言いながら、実は三年連続で「年忘れ 市馬落語集」に出演されている一之輔さん。次代の落語界を背負うべく落語協会副会長市馬さん期待の大きさが伺い知れます。

●三遊亭兼好「宗論」…今月初め大阪で桂歌之助さんの「宗論」を聴きましたが、兼好さんと歌之助さん、上方と江戸落語の違いでしょうか?否 同じ噺でも演者が違うと全く違った面白さが滲み出てくるものですね。落語の奥深さを感じる一席でした。

●柳家三三「粗忽の釘」…誰もが認める「若手本格派の大器」と言われている三三さん。聴き心地が良くて切れがある、人情噺や高度な話芸で本領発揮することで有名な三三さん、滑稽話も文句なく面白い。端正な語り口は一之輔さん同様 間違いなく、市馬さんを始め落語協会の期待がかかるホープの一人です。

二部は、フルバンドを従え市馬さんが歌いまくる「昭和歌謡大全集」
司会を務めるのは林家たけ平さんと、オフィスエムズ(主催者)の代表加藤さん。
フルバンドのメンバーには林家正蔵さんや漫才師のおぼんさんがいらっしゃいました。

第一景は東海林太郎の世界。
丸メガネに燕尾服、ボサボサ髪のカツラを被り直立不動の姿勢で市馬さんが登場。
「国境の町」「旅笠道中」「上海の街角で」「赤城の子守唄」を熱唱。
赤城の子守唄以外は知らない歌ばかり。それもそのはず、今回は昭和10年代をテーマにしてるのだとか。
(付いていけそうもない!○木ちゃんなぜか大爆笑。)

市馬さんの着替えの間に立川志らくさんが普段着で登場、「東京の空、青い空」を歌ってすぐに帰っていかれました。

第二景はデュエットソング。
いつもは舞台袖でお囃子を担当していて決して姿を見せることはない恩田えりさんを相手に 「うちの女房にゃ髭がある」「もしも月給が上がったら」「二人は若い」など3曲。
会場内はペンライトを振るファンの方々がちらほら。市馬さんノリノリです。
一部の落語よりも完全に歌謡ショーの方にエネルギー入ってます。

第三景は なつかしの歌声。
なつかしのって書いてはありますが古いっ!古すぎでしょ?
昭和10年代。しかも戦前の曲!川柳師匠じゃないんだから軍歌だけは勘弁して!
○木ちゃんも「この曲なにっ?知らねーし!」を連発。
「暁に祈る」「女の階級」「愛の小窓」を本当に気持ちよさそうに歌う市馬さんに見ているこちらもついつい手拍子が…。
「誰が故郷を想わざる」では曲に合わせて、なんと○木ちゃん、思わず口ずさんでました!(アンタいくつだ?)

第四景は バタヤンを偲んで。
今年亡くなった田端義夫さんのヒットパレード。
毎回「年忘れ 市馬落語集」を楽しみにしていた立川談志師匠の選曲とのこと。
「海のジプシー」「梅と兵隊」「玄海ブルース」
ギターを胸の上の方に構える、バタヤン独特のポーズを真似して歌う市馬さんのエアギターが笑わせます。

確かに会場は高齢者が多かったけど、この歌謡ショーの全曲を全て知っているのはたぶん一握りのお客さんだけだと思います。

市馬さんは1961年生まれ。郷ひろみさんや西城秀樹さん、山口百恵さん達が活躍していた時代です。
仮に幼い頃から演歌が好きだったとしても、バタヤンや昭和10年代の軍歌を果たして口ずさむでしょうか?
やばいです。市馬さん。
いったい市馬さんは何者なのでしょう?
好きこそものの上手なれとは言いますが、道を究めるためには古きを訊ね新しきを知るということでしょうか?

あまりにも歌謡曲が好きすぎて、「協会からの呼び出し」と言われて、落語協会に行かずに、歌手協会へ出かけてしまったというエピソードが披露された時には会場内思わず苦笑いでした。

そうこうしているうちにあっという間にフィナーレとなり、「東京ラプソディ」「東京五輪音頭」を出演者、会場で大合唱。なんだか紅白歌合戦のラストみたいでした。

新宿文化センター大ホール、初めて訪れましたがデカイ!収容人数1800人だとか。
もはや落語の入れ物じゃないし。

市馬さんが一年に一度だけ爆発する日。
市馬さんによる市馬さんのためのオンステージ!
これが噂に聞いていた夢にまで見た「年忘れ 市馬落語集」の全貌でした。

市馬さんの全てを堪能した市馬づくしの、私にとって今年一年を凝縮した一日となりました。

by Ricophoo | 2013-12-30 00:16 | 落語