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今そこにある危機 

懸賞 2012年 04月 13日 懸賞

2012年春、木曜日の朝にヨネスケが暴れている。
ヨネスケといえばかつて一世を風靡した日本テレビ「ルックルックこんにちは」の
「突撃!となりの晩ごはん」のリポーターである。

となりの晩ごはんを知らないと言われる諸兄もいらっしゃると思うので、
軽く説明すると、巨大しゃもじを持ったヨネスケが
アポなしで全国各地の住宅街に突如現れ、
半ば強引に一般家庭の夕ご飯の様子をレポートすると言った内容で
1985年から2001年までの16年と、その後も日本テレビ系列の情報番組などで
「突撃!リアル」「帰ってきた」「突撃!スターの」などと微妙に
名前を変えながら2011年まで続いた日テレを代表する看板コーナーである。

その「突撃!となりの晩ごはん」が
なんとこの春からテレビ朝日の朝のニュース番組「やじうまテレビ」の
木曜日のコーナーに蘇ったのだ。
むろん、朝の番組だから「晩ごはん」じゃなく「朝ごはん」になるわけだが。
朝は反則だろう。
しかも人のふんどしで相撲を取るというより、
よその局の土俵に土足で上がり込み、悪びれもせずそのまま土俵ごと
持ち逃げした感じである。
日テレも日テレだ。伝家の宝刀といってもいいような看板コーナーを
そっくりそのままテレ朝に譲ってしまったかのようだ。
懐の深いところを見せたいのか…はたまた金銭がらみか?
下種な視聴者の想像はとどまるところを知らない。
いや、もしかしたらヨネスケという存在は
メディアの枠を超え既に私たちの知らないところで何か巨大な見えない力によって
記号化・共有化されているのではないだろうか?肖像権や著作権などといった
小さく小賢しい世界に留まらないような。

で、ヨネスケである。

木曜朝、その暴れっぷりはもはや放蕩無頼、茫然自失、傍若無人の限りを尽くしている。
夕ご飯という一日を終えるなにか牧歌的、大河的な時間の流れとは対極にある
戦場然とした朝の時間に、ヨネスケの乱入。人々が苛立たないわけがない。
大体、出勤通学前の一分一秒を争う一般家庭のどこにヨネスケを受け入れる余裕などあるものか!
取材拒否、または門前払いを食らわされるのがオチだろうと思いきや
ヨネスケまさかの暴挙。
勝手に門扉を開きドアを開け住宅に侵入している。
家人の許しを得ようものなら、免罪符を手に入れたかのごとく
ずんずん家の中に入っていく。
まずはテーブルの上のおかずを、ねめ回した後でお約束の味見。
挙句、台所にまで入ってきて、鍋の中身をチェック。味噌汁の具がなんであろうと
余計な御世話だ。
そうこうしているうち冷蔵庫を勝手に開けてタッパーに入った常備菜をつまみ食い。
粗業の悪さは目を覆うばかりだ。
当事者ではない私でも、ああ!やめてと思わず口をついて出てしまうほど
もう誰にもヨネスケを止められない。


「しかし、朝から意外にいいもの食ってるな。」とか自分の朝ごはんを棚に上げ
「この家は昆布の煮ものだけかよ。しけてんな~」などと
他人の生活を、こっそりのぞき見するようなワクワク感が、なるほどたまらない。
これが20年以上人々に愛され見続けられた所以というわけか。

一日の始まり。朝のニュースの時間帯が、他局の手によりいつのまにか、
タレントの起用やアイドル然とした女子アナを巧みに使い
バラエティ化を図ってきた中で、
長年頑なまでに政治や経済評論家、知識人を結集させて
報道の「やじうま」と言われるほど、社会派を頑固一徹守り通してきた
テレ朝が、ここにきてヨネスケかよ!と訝しがる私に、息子は言った。

垂れ流しの情報社会。緩みきった朝のニュースショウに対するアンチテーゼとしての
象徴がヨネスケなのだと。

震災から1年。少し気が緩みかけた私たちに「やじうま」は危機感を持ち続けろと喚起を促しているのだと言う。
いつヨネスケが自宅玄関の前に立っていてもいいような
心の準備だけは、いつ何時でもしておかなければならないという
危機管理の重要性を説いているとも。

さすが生まれた時からやじうまを見て育ってきた、
生え抜きの「やじうまッ子」だけの事はある。

まあ難しい事はさておき、
このコーナーは視聴者として気楽に楽しむ分にはたまらないものがあるが
自宅に突撃される当事者にだけはなりたくないものだ。
冷蔵庫をヨネスケに開けられることを想像しただけで発狂する。

まずは毎日のカギの施錠はもとより、チェーンの掛け忘れには
細心の注意を払いたい。
とにかくヨネスケの突撃侵入だけは死守しなければ。
ヨネスケは防犯予防にも警鐘を鳴らしているのか。
ヨネスケ、それは今そこにある危機。

by Ricophoo | 2012-04-13 22:05 | その他 | Comments(2)