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モバイルハウスのつくりかた

懸賞 2012年 07月 21日 懸賞

f0036354_0621.jpg家賃も住宅ローンも、決まった土地も不要。ほんの少しの材料と太陽光があれば、ささやかなマイホームを持つことができる-。路上生活者の生きる知恵を伝えてきた“建てない建築家”、坂口恭平さんが新しい発想の「モバイルハウス」を製作していく姿を追ったドキュメンタリー映画「モバイルハウスのつくりかた」を渋谷ユーロスペースで観て来ました。

早稲田大学建築学科を出た坂口恭平さんは、在学中から建築物を建てるということ自体に疑問を抱き始め、建築とはなにか、都市とはなにかを自問しながら、都市の片隅で生活する路上生活者達と出会います。

身の丈に合った居住空間。家賃、敷金、ローン、ゼロ。ほんの少しの材料と太陽光で暮らす人々。

たとえ大きな地震が起きても家に潰されることはない、軽いたんこぶが出来るだけだよと、話してくれる路上生活者達。
彼らへのレポートをもとに『0円生活』『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』などの著書を出版し2010年11月には、彼らからの教えを受け
ソーラーパネルで自家発電、自動車用バッテリーで蓄電可能。かわいい車輪が4つ付いた動く家―。「モバイルハウス」という全く新しい発想の建築を具体的な形にし始めます。

材料はホームセンターで購入し、締めて26,000円也。
坂口さんが師匠と慕う“多摩川のロビンソンクルーソー”の船越さんとともに、見事「モバイルハウス」を作りあげていきます。
建築家であるはずの彼が、家の建て方をホームレスの船越さんから懇切丁寧に教えられる姿は、机上の学問の薄っぺらさを感じえません。

坂口さん言うところの「都市型狩猟採集民」の生活に根付いた知恵も製作過程の中のあらゆる場面で伝授されていきます。

所有権が放棄された都市に捨てられたあらゆる人工物を逆に所有するホームレス。
船越さんの工具(全てゴミだったもの)の充実ぶりに驚かされました。
どんな廃材も自在に使いこなす才能、生きる力に満ち溢れた柔軟な思考、まさに社会の枠組みの外でいわゆる「ゼロ」から自分の生活を作り出してきた人達です。

一般社会に生きる我々市民はどうでしょう?
住宅ローンを借りて小さな狭い家に「所有」され、資本家から国家からも「所有」される。
現代に生きる私達は常に他者に「所有」されています。

先日奥田英朗さんの「サウスバウンド」を読み終えたばかりで自分自身いささか左寄りになってはおりますが、今までどおりの作られたこの国のシステムに支配され、所有され与えられることが当たり前だと思って生きていていいのでしょうか?そんな疑問さえ沸いてきます。

サウスバウンドの主人公の父、元活動家の上原一郎が言います。
「人間の不幸はな、あるうえに欲しがるってとこから始まったんだ」

しかし、このドキュメンタリーは坂口さんが多摩川から吉祥寺の駐車場に移動し、モバイルハウスで実際に生活を始めた直後の3・11の震災にて急転します。

2012年5月に坂口さんは一冊の本を刊行しました。『独立国家のつくりかた』。
いまの政府や国の在り方、生活そのものに対して不平・不満があるのなら、自らの手で“独立国家”を作ってしまえばいい。

震災以降、自ら熊本に新政府を設立し、初代内閣総理大臣に就任します。
別に決して左翼とかアナーキズム的思想を持っているわけではありません。

衣食住、すべてにおいて、私たちはいままで通りの作られたシステムだけで生きていくのではなく、すこし視点を変えるだけで世界はいままでと全く異なり、わたしたちは豊かさを得ることが出来るのでは?
と坂口さんはゼロセンターから私達に投げかけているのだと思います。

今、坂口恭平さんという「建てない建築家」は、建築という枠組を越えて、新しい世界、もしくは社会という新しい発想の建築物を作り始めています。凄い建築家が現れました。

by Ricophoo | 2012-07-21 23:54 | 映画

ストックホルム

懸賞 2012年 07月 16日 懸賞

f0036354_2318453.jpg永田町赤坂東急プラザ1Fにあるスウェーデン料理「ストックホルム」でランチを頂きました。
日本ではここでしか味わえないスモーガスボードの専門店です。
スモーガスボードというのは日本で言ういわゆるバイキングのようなものです。
スウェーデンでは1700年頃からある歴史ある北欧の伝統料理です。

f0036354_23191625.jpgスモーガスボートの食べ方には様式があり、お皿の数が多ければ多いほど良いとされています。
そしてまずは、スウェーデンの特産ともいえるニシン料理を堪能するところから始めなければならないそうです。
この「ストックホルム」のランチではニシン料理が7種類もあり、ニシンの味もさることながら
マリネのソースがバラエティに富んでいて、そのどれもが本当に美味しく
私の抱いていたニシンのイメージを覆すものでした。


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f0036354_23202636.jpgf0036354_23223229.jpgそのほか、季節のサラダはもとより
リンゴをサワークリームで和えたサラダ、ビーツのサラダやエビのサラダ
キャベツの酢漬けやピクルス。
ザリガニやエビの蒸したもの、トナカイの肉のサラミ、ローストポーク
様々なソースをつけて食べるミートボール。
特にリンゴンベリーというコケモモのジャムのソースを付けたのが
美味しかったです。

また「ヤンソンの誘惑」といわれるアンチョビとポテトのグラタンは絶品でした。

そして北欧といえばサーモン。
クネッケといわれるライ麦パンにサーモンを乗せ、ケッパー、オニオンスライスにレモンをトッピング。
まさに筆舌つくしがたいお味でした。

チーズも濃厚なクリームチーズやカマンベール、ゴルゴンゾーラ、キャラメル風味のヤギのチーズなど
いろんなチーズが用意されていて、干しいちぢくやオリーブの実と一緒に味わえます。

f0036354_23231427.jpgデザートもフルーツやアイスクリームの他、ケーキやプリン、ムース、ゼリー

温かいアップルパイのようなものなど種類も豊富で
ついつい食べ過ぎてしまいました。

料理の種類の豊富さ、珍しい料理の数々
そしてそのどれもが美味しいとなると値段が気になりますが
ランチ(土日祝のみ)が3000円とは信じられない安さです。

テーブルに付いたギャルソンの方がお料理や食べ方の説明などしてくださり
取りに行く度にお皿を渡してくださったり、椅子を引いてくださったり
まるで敷居の高い高級レストランのような対応をして下さいます。

店内は静かで、高級感あふれる調度品と清潔なカトラリー
落ち着いた大人の雰囲気が漂います。

すっかりスウェーデン料理のファンになりました。
今度はアクアビットというスウェーデンのお酒でも飲みながら
近いうちまたディナーを食べに行きたくなりました。

by Ricophoo | 2012-07-16 23:17 | おいしい

きっとここが帰る場所

懸賞 2012年 07月 07日 懸賞

f0036354_21541984.jpg
渋谷シネマライズでパオロ・ソレンティーノ監督・脚本作品「きっとここが帰る場所を観てきました。

映画を観ていて「ああ、私はショーンペンが大好きだ!」と改めて思い知らされた映画でした。
一癖も二癖もある人間を演じさせたら、彼の右にでるものはいないのではないかと思っています。

今回もその期待を裏切ることなくまたまた彼はやってくれました!

髪の毛はメドゥーサのように逆立ち、ゴシックメイクで全身黒づくめのファッション。
まるで、キュアのロバート・スミスをおばさんにしたようなショーン・ペンが
キャリア全盛期に引退したロックミュージシャンを演じ、
しかもその彼がなぜか30年音信不通の末死んでしまった父の仇撃ちと称し
ナチの残党狩りにアメリカ縦断をするロードムービーというのですから、
これはショーン・ペンファンならずとも観ないわけにはいきません!

ショーン・ペン演じる引退したロックスター、シャイアンを中心に、
彼を取り巻くちょっと不思議な人々と予測不可能なストーリー展開が
観ていくほどにジューシーさを増して行きます。
またシャイアンの心の変化が、アメリカの壮大な自然や風景の中で、
北から南へと移動していく間に詳らかに描かれて行きます。


親子の問題、愛する者の喪失、ホロコーストといったデリケートで難しい主題も
ナイーブかつコミカルに紡いだ演出でうまさが光ります。

音楽はトーキングヘッズのデイヴィッド・バーン。
彼は劇中、白いスーツに白い靴、そして白髪という、本人役で登場し、
映画と同じ題名の曲を颯爽と歌ってくれます。
80年代のロック好きには、もうたまりません。

この映画では怪優ショーンペンの魅力が余すところなく堪能できるばかりか、
脇を固める納得の俳優陣達の競演が映画ファンの心をくすぐります。

「普通の人々」、「インデペンデンス・デイ」、「ビューティフル・マインド」のジャド・ハーシュ。

また古いところでは「ゴッドファーザーPARTⅡ」、「ミズーリブレイク」、「エイリアン」、「ストレイトストーリー」、「ワイルドアットハート」などに出演した名優ハリー・ディーン・スタントン。

そして、シャイアンの心の痛みを理解し、自らも傷ついているという、このストーリーに大切な役割をもつ、シャイアンオタクのロック少女メアリーという難しい役を演じたのは、U2のボノを父に持つイブ・ヒューソンです。

劇中のセリフもなかなかです。
「身体に悪い事は全部したが、煙草だけは吸わなかった」などクスッと笑えるようなものから、
「寂しさと寂しさは相性が悪い」「人には決断すべき時がある」など心に染みるような味のあるセリフが沢山散りばめられています。

万華鏡のように様々なモチーフを取り込んで、観る者をぐいぐいと予測不能なストーリーテリングで引きつけていく演出、人が人生の中で立ち止り、悩む…その本質的な要素を繊細でセンシティブな世界観で描くパオロ・ソレンティーノ。

私の大好きな、天才ショーン・ペンが見込んだイタリアの若き映画監督のこれからが楽しみで仕方ありません。

http://kittokoko.com/

by Ricophoo | 2012-07-07 21:54 | 映画