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懸賞 懸賞

市馬さんに夢中(その6)~「年忘れ 市馬落語集」

懸賞 2013年 12月 30日 懸賞

f0036354_0331910.jpg今年1月初めて市馬さんの落語を聴いてからというもの落語の面白さに目覚めて、暇があると寄席通いの日々。
そしてとうとう挙句の果ては大阪まで上方落語を聴きに行く始末。
一年を通して文字通り落語三昧の日々を過ごしました。

そうなると2013年 今年の落語の締めくくりは、やはり市馬さんでしょう!

ということで、12月26日 新宿文化センター大ホールで行われた「年忘れ 市馬落語集」を堪能してきました。
今日のお供は一之輔さんファンの落友 ○木ちゃん。

毎年恒例となっているこの「年忘れ 市馬落語集」。これを聴かないと年を越せないという熱烈市馬さんファンもいるとかいないとか・・・。(私だけ?)
この「年忘れ 市馬落語集」お客さんはもちろん市馬さんの落語を聴きに来ているのですが、もうひとつのお目当ては後半の歌謡ショーです。

市馬さんを語る上でポイントとなるのが歌謡曲。
昭和歌謡をこよなく愛する市馬さんは、高座でも歌うことが多く、冬の噺「掛取り」を三橋美智也メドレーに乗せて披露する「掛取り美智也」はファンの間では有名な演目です。
その歌謡曲好きが高じて日本歌手協会の会員に選ばれたほどの腕前です。
CDも発売していて、落語家でありながらプロの歌手でもいらっしゃいます。

そんな市馬さんの「年忘れ 市馬落語集」は二部構成。
一部は落語、15分の中入りの後、二部の歌謡ショーです。

一部が始まり、前座さんかと思いきや、開口一番は、いきなり市馬さんの登場です。

●柳亭市馬「三十石夢の通い路」…船頭唄をたっぷり聞かせてくれる三十石。伸びやかな唄声は市馬さんの魅力全開の演目です。つまりは歌謡ショーの為の「喉慣らし」とお見受けしました。

●春風亭一之輔「浮世床」…市馬さんの後で演りにくいとか愚痴を言いながら、実は三年連続で「年忘れ 市馬落語集」に出演されている一之輔さん。次代の落語界を背負うべく落語協会副会長市馬さん期待の大きさが伺い知れます。

●三遊亭兼好「宗論」…今月初め大阪で桂歌之助さんの「宗論」を聴きましたが、兼好さんと歌之助さん、上方と江戸落語の違いでしょうか?否 同じ噺でも演者が違うと全く違った面白さが滲み出てくるものですね。落語の奥深さを感じる一席でした。

●柳家三三「粗忽の釘」…誰もが認める「若手本格派の大器」と言われている三三さん。聴き心地が良くて切れがある、人情噺や高度な話芸で本領発揮することで有名な三三さん、滑稽話も文句なく面白い。端正な語り口は一之輔さん同様 間違いなく、市馬さんを始め落語協会の期待がかかるホープの一人です。

二部は、フルバンドを従え市馬さんが歌いまくる「昭和歌謡大全集」
司会を務めるのは林家たけ平さんと、オフィスエムズ(主催者)の代表加藤さん。
フルバンドのメンバーには林家正蔵さんや漫才師のおぼんさんがいらっしゃいました。

第一景は東海林太郎の世界。
丸メガネに燕尾服、ボサボサ髪のカツラを被り直立不動の姿勢で市馬さんが登場。
「国境の町」「旅笠道中」「上海の街角で」「赤城の子守唄」を熱唱。
赤城の子守唄以外は知らない歌ばかり。それもそのはず、今回は昭和10年代をテーマにしてるのだとか。
(付いていけそうもない!○木ちゃんなぜか大爆笑。)

市馬さんの着替えの間に立川志らくさんが普段着で登場、「東京の空、青い空」を歌ってすぐに帰っていかれました。

第二景はデュエットソング。
いつもは舞台袖でお囃子を担当していて決して姿を見せることはない恩田えりさんを相手に 「うちの女房にゃ髭がある」「もしも月給が上がったら」「二人は若い」など3曲。
会場内はペンライトを振るファンの方々がちらほら。市馬さんノリノリです。
一部の落語よりも完全に歌謡ショーの方にエネルギー入ってます。

第三景は なつかしの歌声。
なつかしのって書いてはありますが古いっ!古すぎでしょ?
昭和10年代。しかも戦前の曲!川柳師匠じゃないんだから軍歌だけは勘弁して!
○木ちゃんも「この曲なにっ?知らねーし!」を連発。
「暁に祈る」「女の階級」「愛の小窓」を本当に気持ちよさそうに歌う市馬さんに見ているこちらもついつい手拍子が…。
「誰が故郷を想わざる」では曲に合わせて、なんと○木ちゃん、思わず口ずさんでました!(アンタいくつだ?)

第四景は バタヤンを偲んで。
今年亡くなった田端義夫さんのヒットパレード。
毎回「年忘れ 市馬落語集」を楽しみにしていた立川談志師匠の選曲とのこと。
「海のジプシー」「梅と兵隊」「玄海ブルース」
ギターを胸の上の方に構える、バタヤン独特のポーズを真似して歌う市馬さんのエアギターが笑わせます。

確かに会場は高齢者が多かったけど、この歌謡ショーの全曲を全て知っているのはたぶん一握りのお客さんだけだと思います。

市馬さんは1961年生まれ。郷ひろみさんや西城秀樹さん、山口百恵さん達が活躍していた時代です。
仮に幼い頃から演歌が好きだったとしても、バタヤンや昭和10年代の軍歌を果たして口ずさむでしょうか?
やばいです。市馬さん。
いったい市馬さんは何者なのでしょう?
好きこそものの上手なれとは言いますが、道を究めるためには古きを訊ね新しきを知るということでしょうか?

あまりにも歌謡曲が好きすぎて、「協会からの呼び出し」と言われて、落語協会に行かずに、歌手協会へ出かけてしまったというエピソードが披露された時には会場内思わず苦笑いでした。

そうこうしているうちにあっという間にフィナーレとなり、「東京ラプソディ」「東京五輪音頭」を出演者、会場で大合唱。なんだか紅白歌合戦のラストみたいでした。

新宿文化センター大ホール、初めて訪れましたがデカイ!収容人数1800人だとか。
もはや落語の入れ物じゃないし。

市馬さんが一年に一度だけ爆発する日。
市馬さんによる市馬さんのためのオンステージ!
これが噂に聞いていた夢にまで見た「年忘れ 市馬落語集」の全貌でした。

市馬さんの全てを堪能した市馬づくしの、私にとって今年一年を凝縮した一日となりました。

by Ricophoo | 2013-12-30 00:16 | 落語 | Comments(0)

コモラーの掟

懸賞 2013年 12月 21日 懸賞

f0036354_0455838.jpg世間では「小諸そば好き」のことを「コモラー」と言うらしい。

何をかくそう私は正真正銘の「コモラー」だ。
週に3、4日は「小諸そば」を食べている・・・っていうか、少しでもランチタイムに職場を出るタイミングを逃してしまうと、ここ半蔵門では、すぐにランチ難民になってしまうので、
小諸そばで食べることが多くなってしまうだけの話だ。

「小諸そば」は、そんな人々を決して拒否することなく、しかも待たせることなく、寂しいフトコロの人でさえ、暖かく誰でもどんな人間でも、やさしく受け入れてくれる
公平中立のいわゆる難民キャンプのような場所である。

なので私は「小諸そば」については、ちょっとうるさい。
いやかなりうるさいかも知れない。

「小諸そば」について語らせたら小一時間熱く語れる自信がある。

今日はそんな私が愛してやまない「小諸そば」のことを書いてみようと思う。

「小諸そば」は主に東京都内の港区・千代田区・中央区に集中し店舗を構える立ち食い蕎麦のチェーン店だ。

「小諸そば」は立ち食いと言っても、立って食べるスペースはほんのわずかしかなく、殆どは椅子に腰掛けて食べる様式になっているので、比較的女性にも入りやすいのが嬉しいところだ。

都内にある立ち食いそば屋には「富士そば」「ゆで太郎」などライバル店も多く、凌ぎを削っているようだが、「小諸そば」は、味と値段、店内の雰囲気といい、そのコスパの高さは、他店と一線を画しているのではないかと私は密かに思っている。
店内には、クラッシックやジャズ、またはイージーリスニング系の音楽が静かに流れていて立ち食い蕎麦屋でありながら、都会的かつアカデミックなイメージ作りも憎いところだ。

私の通っている「小諸そば」半蔵門店の中枢と言えば、なんといっても客から食券を受取り、大声で厨房との連携をとるおばちゃんだろう。
ホールと店先をキビキビと行き来し、客の細かい注文にも臨機応変に対応、各テーブルの葱やそば湯の充填も怠らない。また時に洗い場のおばちゃんへも厳しいダメ出しを行うなど、その司令塔としての役割はACミランに入団する本田も真っ青だ。

センターフォワードは、最後に行う盛り付けなど 厨房の真ん中で采配を振るうチーフ(たぶん)だろうか?

私がトッピングにわかめを入れるのをなぜか暗黙の了解で知っているのは、このチーフただ一人である。(どんだけ常連なのって話だが・・・)
うずらの卵を割る手つきの繊細さにはグッとくることもたびたびだ。

その他、暑い夏でも、コンロの前で、ひたすらそばとうどんをゆで、全身全霊で湯きりをしているナンバー2。

地味でハードな作業にも関わらず、食器返却口で「わざわざありがとうございます」と声出しを欠かさない洗い場担当のおばちゃん。

人当たりのいいテイクアウト担当のおばちゃんと、おばちゃんを支える天ぷら担当のおじさんのツートップ。
店頭テイクアウト部隊もかなり高度な連携が出来ている。

忙しい中でも、「小諸そば」半蔵門店の従業員さん達は、絶妙な均衡を保ちながら、決して流れやリズムを乱さないその見事なフォーメーションには、惚れ惚れするほどだ。

従業員さん達の、その芸術的フォーメーションを今日も維持してもらうため、コモラーとして気をつけなければならないことがある。

f0036354_0473644.jpg小諸そばでは、まず食券の列に並び、食券を買ってから更に注文カウンターの列に並ぶのだが、そこで「熱いそばorうどん」か「冷たいそばorうどん」、トッピング名を、端的且つスピーディにおばちゃんやチーフに伝えなければならない。
わずかではあるが、自分もそのフォーメーションに交わる一瞬であるからして、ある意味 緊張感漂う場面でもある。
しかしそんな繊細な場面を前に時に食券を買わずにいきなりカウンターの列に並ぶ無粋な奴がいる。(注意深く他の客の動向を観察していれば分かるはずだ)
これはもう目も当てられない。まさに言語道断である。
司令塔に券売機前での説明作業という無駄な動きを強いてしまうことになる。
フォーメーションの崩壊につながる大変危険な行為だ。
なのでこれだけは入店前にぜひとも確認しておきたい基礎知識だ。

またコモラーたるもの券売機の前でうろたえないということも大切な掟のひとつと言えよう。

春から夏、秋から冬にかけて季節メニューが登場してくるときなどは特に注意したい。
「二色もり」と「二枚もり」の区別がつかずうろうろするやつが出てくるのは、必ず初夏の頃だ。

そうそう、コモラーの一年を通じての楽しみと言えば「小諸そば」で季節の移り変わりを感じ、味あうことだろうか。
二枚もりから「月夜のばかしそば」が恋しくなるのは、涼しい秋風が心地よい初秋の頃。

また「晩秋」の到来を告げるのはゆず胡椒の香り豊かな「香味うどん」の登場だ。

食べ方の注意書きを見ながら食べると美味しさ2倍の「味噌うどん」は今や冬の風物詩とも言える。

いち早く春を感じさせてくれたのは一昨年までメニューにあった「削り昆布と穂付筍のそば」。来春こそは、その復活が強く望まれる。

ここ2、3日は、東京にも霙が降る寒い日が続いている。
こういう日はやはり「小諸そば」だ。(っていうか毎日だろ)

今日は「香味うどん」のうどんをそばに代え、ワカメのトッピング。
今 自分の中でこれは鉄壁のチョイスだと一人ごちている。

食べ終わって店を出ようとしたら、席がまばらに空いているにも関わらず、わざわざ立ったままそばを啜っていた若い女がいた。

彼女もまた筋金入りの「コモラー」であることは間違いない。
すれ違いざま、私は熱い視線を送った。

by Ricophoo | 2013-12-21 00:29 | おいしい | Comments(0)

落語三昧~上方落語を聴きにいくの巻~

懸賞 2013年 12月 07日 懸賞

f0036354_1441318.jpg今年初めに火がついた落語熱でしたが、月日が流れ冷めるどころか更に過熱し続けており
東京の寄席に留まらず、とうとう上方落語を聴きに大阪までいってきました。
JR東西線「大阪天満宮」徒歩3分、天満天神繁昌亭で行われた第19回「長寿の会」。

鶴瓶さんや才賀さんなど東京の寄席に出演される上方の噺家さんの落語は何度か聴く機会がありましたが、大阪で本物の上方落語を聴くのは初めての体験です。

「長寿の会」は天満天神繁昌亭で既に19回も続いている桂歌之助さんの独演会です。
歌之助さんは桂米朝一門の中堅どころといった感じでしょうか。
歌之助さんは3代目。50代で早世した2代目師匠はあの桂米朝師匠の弟子、端正な語り口と知的ユーモア、鋭い批評性で米朝一門の鬼才と称されていた噺家さんだったそうです。
3代目歌之助さんはその2代目の唯一のお弟子さんです。
大阪の寄席を中心に活動されているようなので、なかなか東京で落語を聴くことはできないため、失礼ながらそのお名前も知らないまま、今回いきなり独演会を聴くという暴挙に出てしまいました。

●森乃石松さん【寄り合い酒】…町内の若い衆が飲み会をしたいが金がない。仕方がないので、めいめい肴を持ち寄って呑む事にしたが、料理に不慣れな男ばかりが集まったために大混乱をきたすという滑稽噺。歌之助さんに、滑舌の悪さを指摘されていた石松さん、それが逆に効を奏し、若い衆の頓馬な感じを際立たせていました。
●桂 歌之助【宗論】…息子がキリスト教信者になってしまい父親は不満でたまらない。今日も番頭さん相手に愚痴っているところに、息子が帰ってきて宗教論争(宗論)になる…。
創作落語かと思っていたら、この「宗論」実は古典の名作なんですね。歌之助さん演じる息子の「主 イエースキリストはー!」という外人牧師を真似たカタコトの台詞が出るたびに場内大爆笑でした。
●桂 歌之助【平家物語 その6】…「長寿の会」では、毎回平家物語を絵巻物のように語っていらっしゃるようです。落語の要素も取り入れながら、まるで歴史の勉強会の様相です。なかなか勉強になります。
中入に「平家転覆を密議した鹿ケ谷会議の行われた年月日」を問う小テストまであるので、話をしっかり聴いておかなければなりません。
~中入り~
●桂 歌之助【くっしゃみ講釈】…講釈師に女性とのデートを邪魔された男が、相棒と相談してこの講釈師を困らせてやろうと企む。コショウの粉を客席から七輪で燃やして煙を演台にあおぎ上げてくしゃみをさせて講釈をできなくし、恥をかかせようと考えた。相棒に言われて男がコショウを買いに行くが、物覚えの悪い男、八百屋の前で自分が何を買いにきたのかも忘れてしまう。やっとのことで思い出したが肝心のコショウが売り切れていた。そこで代わりに「トウガラシ」を買って来て講釈場に行く。丁度 講釈師が「難波戦記」の修羅場にさしかかった時。トウガラシをくすべて煙をあおぎ講釈師の鼻先にゆく、講釈師思わず「ハックション!」くしゃみの連発で講釈など語っていられない。喜んだ二人は講釈師を野次りまくる…。
講談「難波戦記」の節回しも然る事ながら、テンポ、メリハリ、キレの良さ!とにかく面白い!すべてがパーフェクト!歌之助さんの話の上手さに思わず唸りました。

東京で見る上方の落語家さん達は、皆テレビやラジオで活躍しているような人たちばかりで、見ている私たちも、「大阪の落語家さん」というイメージにとらわれすぎていたような気がします。
上方には歌之助さんのような魅力ある落語家さんが、まだまだたくさんいるのでしょうね。
今回、上方落語を本場ではじめて聴いて、大阪の落語と東京の落語の違い、それぞれの良さを目の当たりにしました。
上方落語と江戸落語の一番の違いは、見台(落語家さんの座る場所にある小机)、小拍子(小さな拍子木で普段は見台の上に置かれており、噺の合いの手などに使ったり、雰囲気を変えるために使ったりする)また演出として噺の中でお囃子を盛り込む「はめもの」があることでしょうか。はめものは高座が華やかに彩られるし、小拍子は噺にメリハリがつきます。

東京には落語が常に行われている定席が4つ(国立を入れたら5つ)あります。
上方落語を聴きに行くにあたり、大阪の寄席を探して、びっくりしたことの一つ。
大阪の落語の定席は天満天神繁昌亭が1軒のみということでした。
上方には人気落語家がたくさんいらっしゃるのになぜなのでしょう??
その唯一の定席 天満天神繁昌亭で私が感心したのは、寄席の雰囲気と客筋の良さでした。
寄席もお客さんも、気取りのなさと上品さが共存しているのが感じ取れます。
笑いに関しては、関西独特のはんなりとした寛容さと辛辣な厳しさを併せ持っている感じです。東京の浅草演芸場、新宿末広には決してない雰囲気です。

吉本や花月、松竹新喜劇、大阪は笑いの文化に溢れています。一般市民の人たちでさえ、自らが日常生活で常に笑いを追及している中、あえて落語を選んで聴くというお客さんの姿勢が寄席の雰囲気につながっているような気がします。
演じる方も聴く方も一本筋が通っているというか、目的意識を持っているところが違います。

f0036354_1402626.jpg之助さんは、サービス精神が旺盛で、演目の中の小テストの正解者に歌之助さんのシールをプレゼントしてくれたり公演終了後には、わざわざ出入り口に出てきて挨拶をしてくれました。(握手して一緒に写真まで撮ってもらいました!)
こういうことをしてくれたら、落語家さんとの距離が近くに感じられます。東京の寄席ではありえないことです。
すっかり歌之助さんのファンになってしまいました。

11月29日、大阪で初雪が降るという寒い一日、上方落語を聴いた私の落語熱は更に加速し熱くスパークしました。

by Ricophoo | 2013-12-07 01:41 | 落語 | Comments(0)