<   2014年 01月 ( 1 )   > この月の画像一覧

懸賞 懸賞

一刀斎夢録

懸賞 2014年 01月 31日 懸賞

f0036354_22501077.jpg平成24年の末から始まった私の江戸時代熱は未だ冷めやらず。
すべてはこの運命の出会いのために用意されていた伏線だったのか―。

昨年の暮れから、浅田次郎さんの小説を読みふけっている。殆どビョーキである。



無名の隊士・吉村貫一郎の真摯な生涯と彼を取り巻く人間ドラマとして新選組を描いた『壬生義士伝(みぶぎしでん)』。
守銭奴と蔑まれながらも家族のため、本当の「義」を貫いた無骨なまでの吉村貫一郎の人生に爆涙。何度も電車の中で涙をこぼし嗚咽させられた危険極まりない本だ。
読み終えた後、話す言葉はすべて盛岡弁になってしまい2、3週間は抜けなくなるというオマケ付き。

「おもさげながんす」

続いて、がらりと趣を変えて島原芸妓・糸里ら女性の視線を通して芹沢鴨暗殺の謎に迫る『輪違屋糸里(わちがいやいとさと)』。

アンタッチャブルなピカレスク芹沢鴨の暗殺をめぐって新選組の男達に翻弄される女たち。
女性の目線から見たひと味ちがう新選組の内幕。刀を持たず懸命に闘って行く女の強さと優しさ、そして艶やかさ、そして切ないまでの悲哀が描かれた傑作。

そして私のこれまでの人生観を180度変えてしまった斎藤一先生との出会い。
浅田版新選組三部作の掉尾を飾るのは『一刀斎夢録(いっとうさいむろく)』。

御一新後、明治を隔て大正の世まで生き延びた新選組三番隊長、斎藤一。

新選組最強とも謳われ、鬼の化身と恐れられた彼が若い陸軍少尉に夜ごと語る過ぎにし幕末維新から西南戦争に向けての動乱。
新選組の辿った運命、そして剣の奥義。

「死するは易く、生くるは難い」「殺すは易く、生かすは難い」―。

斎藤一の生死の哲学に心が震えた。

鬼と恐れられた最強の男は、斬られない、負けないからこそ、常に「なぜ生きるのか、なぜ殺すのか」という命題を突きつけられ死ぬまで苦しみもがき続けていたのではないだろうか。

剣道とは神仏に通ずる道ではない。人の道の先にあるものでもない。あらゆる情を去って他者の命を奪う道。すなわち鬼の道である。
文久の上洛よりこのかた、いったいいくつの命をうばったことであろう。幾度の戦を経て、よもや百をくだることはあるまい。それでもわしは死なぬのだ。おのれが死なずに百の命を奪うは、もはや人間ではあるまい。
そして人間でないなら何なのか?鬼なのか?
おのれが何様か分からぬなら教えてやろう。おぬしは死神じゃ。

鬼を超え死神となってまで なぜ斎藤一は大正の世まで、生き続けることになったのか?

救われざる命がある。
その時、やさしい言葉をかけらる人はいくらでもいる。
自分の身を捨ててまで守ろうとする人もいるだろう。
救われざる命がある。
救われざる命に対峙した時、人は何を思い、何をするだろう?

鬼と言われた男の狂気と思える死神の所業は、限りない深い慈悲に包まれた究極の優しさだったのか?

ラスト まさかこんな慟哭の結末がまっていようとは!

浅田次郎先生には、またしてもしてやられた。

とうとう新選組にまでいってしまった私の江戸時代熱、今年は更にグレードアップの予感。
今は飲むほどに甘もうなる会津の酒を飲みながら2月に訪れる京都壬生寺と八木邸にひとり思いを馳せている。

by Ricophoo | 2014-01-31 22:38 | | Comments(0)