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懸賞 懸賞

リトルフォレスト 冬・春

懸賞 2015年 02月 23日 懸賞

f0036354_224396.jpg2月14日渋谷HUMAXシネマで「リトルフォレスト 冬編・春編」を観てきました。
8月下旬に公開された「リトルフォレスト 夏編・秋編」に続いての完結編となります。
前作と同様 舞台は小森という東北のとある村の小さな集落。主人公のいち子が稲を育て、畑を耕し、野山で採った季節の食材から食事を作って食べる毎日が厳しくも美しい自然を背景に静かに淡々と描かれています。
いち子のもとに、5年前の雪の日に突然失踪した母から手紙が来ます。
「私は母さんにとって本当に家族だったろうか?」
今までの自分、そしてこれからの自分を思い心が揺れ始めるいち子。
本当の自分の居場所を探すいち子が春の訪れと共に出した答えとは・・・

今回もいち子が作る美味しそうな料理の数々に、空腹のままこの映画を観てしまったことを深く後悔しました。

f0036354_22434753.jpg甘酒とかぼちゃを使った3色のクリスマス(?)ケーキ、つきたての納豆もち、ばっけ味噌、じゃがいものパン、凍み大根と干し柿、ひっつみ汁とチャパティー
f0036354_22444088.jpgラディッシュの即席漬けと味噌のついた焼きおにぎり、塩漬けわらび、たらんぼ、コシアブラ、コゴミの天ぷら、つくしの佃煮、塩マスとノビルと白菜の蕾菜のパスタ、キャベツケーキ等など
ひとつひとつの料理は自然の中で採れた、その土地で暮らしている方にとっては、ごくありふれた素朴なものでしょう。しかし、観ている私たちにとって登場する料理のどれもが至極おいしそうに感じるのは、その料理のすべてが手間暇がかかるものばかりだったからだと思います。そしてそれは自然の恵み、言い換えれば季節を食べているからなのだと思います。これこそが贅沢、これこそが本当に豊かな生活なのだと思います。
生きることの喜びと食べることの喜びが、いち子が懸命に料理を作り、懸命に食べる姿の中にストレートに伝わってきます。
都市に住む私達にとって自給自足の生活はとても無理なことですが、映画を観ているといち子のように、すべて自分で生み出していく、作り出していきたいという憧れや欲望が刺激されます。しかし自然の中で対峙して生きていくことの厳しさは生半可なものではありません。
人生はらせん階段。ぐるぐると同じ所を回っているように見えても上へ上へと登っていく。
めぐる季節の中で人は少しずつ成長していくのです。
いち子もまた、自然の恵みを食べて、生きる力を充電していきます。不器用な生き方だけど、しっかりと前を向いて、未来に向けて。
日本の四季の美しさが見事な映像とカメラワークで「食」だけではない自然の恵みに心癒されるそんな映画でした。

by Ricophoo | 2015-02-23 22:45 | 映画 | Comments(0)

仁阿弥道八

懸賞 2015年 02月 15日 懸賞

f0036354_15582664.jpgサントリー美術館で開催中の「天才陶工 仁阿弥道八」展を観に行きました。

恥ずかしながら私が仁阿弥道八という名前を初めて知ったのは昨年オンエアされたテレビ東京の「なんでも鑑定団」でした。
仁阿弥道八(にんなみどうはち)こと二代目高橋道八は江戸時代後期に活躍した京焼の名工です。

「なんでも鑑定団」に登場したのは、江戸時代以来、あるあると言われても誰も見たことがなかった幻の急須9点のセット。
江戸時代の写本に「足利家茶瓶四拾三品図録」と呼ばれる急須の図解集があり、その中から道八が製作したものだということで、依頼人の方の亡くなった奥様の形見の品だとか。

f0036354_166431.jpg2千5百万という鑑定金額も驚きでしたが、私の脳裏に焼き付いたのは、その急須の形でした。
ユニークで素朴で力強く、それでいて遊び心の中にある気品が印象的で「仁阿弥道八」という名前が深く私の心に刻み付けられました。
 
驚いたことに、これまで仁阿弥道八の作品が一同に会する展覧会はほとんどなかったとか。
今回の「天才陶工 仁阿弥道八」展では、ボストン美術館所蔵「モースコレクション日本陶磁」からも12点の仁阿弥作品が里帰りするということで、またとない貴重な展覧会となります。
道八独特の鋭い観察力と卓越した技量を駆使した天才と言われた陶工のユニークでモダンで大胆で、ユーモア冴えわたる作品の数々を堪能してきました。

第1章仁阿弥の父、初代高橋道八
第一章では、道八が陶工として一番影響を受けたであろう父 初代高橋道八作品「銹絵芋頭水指」、また同時代活躍した、仁阿弥の弟・尾形周平の作品「色絵花鳥文急須」、仁阿弥の兄弟子にあたる青木木米(あおきもくべい)の作品などが展示されていました。

第2章 仁阿弥の茶道具と「写し」の技量
野々村仁清以来、京焼の陶工は中国や朝鮮半島のやきものの技法、様式を活かし、上手に写す能力に長けていました。京焼の陶工たちにとって、高級な茶道具の「写し」を再現する技量は成功の鍵を握る重要な能力のひとつであり、仁阿弥もまた「写し」において優れた作品を残しています。 第2章では、仁阿弥道八の面目躍如たる茶道具の数々、なかでも仁阿弥が手がけた「利休七種写茶碗」「色絵花卉図手焙」等の「写し」の精巧さには舌を巻きました。道八の鋭い観察眼、「写し」を自在に操ることのできる技術は全くもって天才のなせる業です。

第3章 仁阿弥の煎茶道具
18世紀後半から19世紀、身分職業を問わず文人たちの間で煎茶道が流行しました。
煎茶道具の需要の高まりに応えるべく、仁阿弥道八も急須や凉炉、煎茶碗を数多く制作しています。
第3章では、道八の煎茶道具を紹介していて、なんでも鑑定団で紹介されていたあの急須9点セットの一部とみられる同じ形をした急須の展示がありました。
添え書きには「最近この急須と同じものが9点発見された」と書いてあり鑑定団の依頼品の出現は仁阿弥道八の研究に深くつながっていることを匂わせました。

第4章 仁阿弥の鉢 懐石の華
第4章では、雪竹文様の手鉢と雲錦手の鉢を中心に、懐石に華やぎをもたらす仁阿弥の鉢が紹介されています。
茶道具の一種である懐石具のなかでも、「鉢」は仁阿弥の個性が強く発揮された器物です。雪の降りかかる竹を描いた雪竹文様の手鉢と桜と紅葉を半分ずつ描いた雲錦手(うんきんで)の鉢は圧巻でした。

f0036354_1692890.jpg第5章 彫塑的作品 置物・手焙・炉蓋
第5章では、仁阿弥の彫塑的作品が展示されていました。
物・手焙(てあぶり)・炉蓋(ろぶた)などの作品は仁阿弥のユーモアと個性でのびのびと表現されたものばかりで思わずくすりと笑みがこぼれます。置くと隠れて見えない底面までもリアルに描写した「色絵猿置物置物」、動物を写実にかたどった「黒楽銀彩猫手焙」「白釉山羊手焙」。茶室に切られた炉を覆う「色絵狸炉蓋」など素晴らしい作品に息を飲みました

第6章 御庭焼の指導者として
仁阿弥道八は自らの五条坂の窯を操業する一方で、地方に招かれ、御庭焼(おにわやき)の指導にも尽力しました。「紀州偕楽園焼(きしゅうかいらくえんやき)」や、讃岐高松藩主・松平頼恕公に招かれて創始した「讃窯(さんがま)」などが知られています。 第6章では、それら御庭焼の作品「染付松霊芝図高杯」、「色絵銹絵桜楓文鉢」などが展示されています。

第7章 新しい時代へ
仁阿弥は五条坂の窯を息子の三代道八に譲り、伏見桃山に隠居して桃山窯を創始・運営し、安政2年(1855)にその生涯を終えました。 三代道八は、父・仁阿弥の作風を受け継ぎつつ繊細な陶技に優れ、四代高橋道八と共に明治時代の京焼を支えました。 現在は、九代高橋道八氏が色絵京焼の茶道具を手がけ活躍なさっています。
第7章では、三代高橋道八の作品「黒釉松葉之図水差指」など先代の作風に学ぶにとどまらず、現代において独自の世界を築こうとする当代道八氏のモダンな中にも気概のある作品を紹介しています。

ユーモア、洒脱、モダン、大胆にして繊細今回の展覧会では、「天才陶工」の名を欲しいまま」にした仁阿弥道八の見事な技に圧倒されました。

若冲、国芳と続き今年は道八 来てます。

by Ricophoo | 2015-02-15 16:02 | アート | Comments(0)

米麹の甘酒

懸賞 2015年 02月 15日 懸賞

f0036354_12321912.jpg米麹から甘酒を作るのが最近の私のマイブームとなっています。
甘酒は飲む点滴といわれるほど豊富な栄養素が含まれている日本古来の飲物です。

ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、食物繊維、オリゴ糖、システイン、アルギニン、グルタミンなどのアミノ酸に大量のブドウ糖が含まれています。

その効能は美白やお肌のハリ、美髪など美容につながる効果はもとより、麹が出す100種類以上の酵素のおかげで細胞の入れ替わりや修復がスムーズに進みアンチエイジングにも大変な効果があるそうです。その他 食物繊維やオリゴ糖で便秘改善、代謝を促進するビタミンB群で脂質の代謝促進でダイエット効果が。また消化吸収を助ける消化酵素、エネルギーを効率よく転換するビタミンB群、ブドウ糖によって疲労回復力を強力にサポートしてくれる甘酒は、まさに良いことだらけの「飲む点滴」です。
甘酒は冬の飲物と思われがちですが、実は江戸時代には暑気払いに夏の盛りに飲む習慣があったそうです。甘酒は栄養豊富で体力回復に効果的な夏の栄養ドリンクとして古くから庶民に愛されていたのですね。
甘酒の製法には、米麹を発酵させて作る方法と酒粕を溶かし砂糖を加えた方法の2種類があります。
どちらも甘酒ですが、酒粕を溶かしたものは砂糖を加えてあるのでカロリーは当然高く、またアルコール分を含んでいるので小さなお子さんにはおすすめできません。
しかし、米麹を発酵させて作る甘酒は砂糖を一切加えなくても信じられないくらい甘く、アルコール臭さもないので、家族みんなで楽しめる飲物です。

f0036354_12333599.jpg前回作ったのは山形の五分付の米麹のみで作ったのですが、今回はどこのスーパーにも置いてある「みやこうじ」と三重県のご当地ショップで買い求めた米麹をブレンドしてみました。

【作り方】
1合の白米でおかゆを作りその間400グラムの麹を手でパラパラにほぐしておきます。
出来上がったおかゆに冷水を加えて60°くらいまで温度を下げます。

f0036354_1235378.jpgおかゆに麹を加え混ぜ、炊飯器にセットします。炊飯器のふたは開けたままにして笊をかけて保温スイッチを入れます。1~2時間おきにかき混ぜながら5~6時間ほど発酵させます。ふたを開けたまま炊飯スイッチを入れ時々かき混ぜながら沸騰直前(90°)まで加熱し塩をひとつまみ加えてスイッチを止めて出来上がり。
冷めたら別の容器に移し替えて保管。飲むときは必要なだけ小鍋にとりわけ水を加えて好みの硬さや味にして飲みます。

お米の種類や味も様々なように、米麹も味や風味がそれぞれ個性があるようです。
都内には各地のご当地ショップがあり米どころだと麹も売られているので、各地の麹を使って飲み比べてみるのも楽しいかもしれません。

by Ricophoo | 2015-02-15 12:35 | おいしい | Comments(0)

おみおくりの作法

懸賞 2015年 02月 02日 懸賞

f0036354_23254497.jpgシネスイッチ銀座でウベルト・パゾリーニ監督作品おみおくりの作法を観てきました。

現在日本ではひとり暮らしの高齢者が600万人に迫るなか孤独死が深刻な社会問題となっています。
日本だけではなく映画の舞台イギリスでも同じような問題を抱えていることを知りました。

主人公は、ロンドンのケニントン地区の民生係として働く真面目な独身男性ジョン・メイ(44歳)
彼の仕事はひとりきりで亡くなった人を見送ること。
言い換えればイギリス版「おくりびと」のような仕事です。

孤独死した人の部屋に訪れて部屋の中の遺品を手掛かりに親族を探し、葬儀や埋葬に立ち会ってもらう人を見つけ、誰も見つからなければ、たった一人で亡くなった方を弔います。
その人に合ったBGMを選び、その人に合った弔辞を書いて心のこもったお葬式を行います。

ジョン・メイにとって亡くなった人たちは、会ったこともない他人です。
公務員の仕事としてなら機械的に、事務的に処理することもできるこの仕事を、ジョン・メイはまるで人間の尊厳を見守るように実に誠意を込めて弔うのです。
彼の仕事は他人からは無意味なものとしか思えないのかもしれません。
ジョン・メイは亡くなった人の気持ちを大切にするあまり調査にとても時間をかけるので、自治体の経費削減のために上司からついに解雇を言い渡されます。

そんなジョン・メイの最後の仕事となったのが自分のアパートの真向いに住むビリー・ストークと言う老人の孤独死でした。
目の前に住みながらも言葉を交わしたことすらないビリーのことが気になったジョン・メイは、ビリーの人生を紐解くために故人を知る人を訪ねイギリス中を旅することになります。
そこで出会うはずのなかった人と出会っていくことで、ジョン・メイ自身にも新たな変化が生まれていきますが…。

死者に想いなど存在しないというのは簡単かもしれません。しかし、どんな人にもそれぞれの人生があります。
人知れずひっそりと亡くなった人たちにだって、確かに生きてきた証があるはずです。
誰かに愛され、誰かを愛し、そしてどんな風に生きて、どんなことに喜びを感じたか。彼らが残した小さな痕跡から彼らの生きた証を探し出し彼らの人生を称え弔うことは無意味なことでしょうか?

社会では、生産性向上のため時間短縮、効率化ばかりが叫ばれています。
私は無駄だと思うもの無意味と思える行為の中にこそ実は大切なものがたくさん詰まっているような気がします。

折しも2月14日から天童荒太さんの映画「悼む人」が公開されます。
ジョン・メイはまさに「おくりびと」でありながらイギリス版「悼む人」そのままです。

悼むことー。それは愛を覚えておくこと。
ジョン・メイ あなたの優しさ誠実さ、あなたが確かに生きていたということを私は覚えておきます。

by Ricophoo | 2015-02-02 23:18 | 映画 | Comments(0)

繕い断つ人

懸賞 2015年 02月 01日 懸賞

f0036354_225667.pngヒューマントラストシネマ有楽町で三島有紀子監督作品「繕い断つ人」を観てきました。

「食」をテーマに心に優しい灯をともすような感動を与えてくれた「しあわせのパン」から3作目 「繕い断つ人」で三島有紀子監督が今回は「衣」をテーマに、こだわりを持って生きることの覚悟を、温かさと厳しさを軸に凛とした美しい世界にして見事に描いて下さいました。

舞台は神戸。町の頑固な仕立て屋「南洋裁店」
先代の祖母が始めたこだわりの洋裁店を受け継いだ2代目の店主・市江。
彼女が古びた足踏みミシンで作るオーダーメイドの服は大人気。
だけど職人気質の頑固さが災いし量産はできず、市江の服をこよなく愛するデパートの営業の藤井さんからのブランド化の依頼も断り続けていました。
なじみの客たちはここで仕立てた服と共に年を重ね人生を彩ってきました。市江は先代が作った服を繕う日々で満足していましたが・・・。

最新の流行を取り入れながら低価格の衣料を短いサイクルで大量生産・大量販売を目的にしたファストファッション全盛の現代、町の中に時々化石のように寂れて残されている仕立て屋さんを見かけます。
昭和30年、40年代くらいまでは、子供の服は基本母親の手作り。
父や母の背広や訪問着などは仕立て屋さんで作ってもらうのが普通でした。
自分の服ではなくとも仕立て上げられ届けられた長方形の厚みのある箱を開けるときの厳かな雰囲気を思い出します。

劇中「着る人の顔が見えない服なんて作れません」と市江のセリフにハッとしました。

自分だけのために仕立てられた服は世界に一つだけのもの。とても贅沢なことだったんだと今更ながら思います。

安いファストファッションの服は、それなりに気軽に買えて気軽に着られる利点もあります。
そして飽きたり、汚れたり、破れたら捨てればいいと気軽に考えて、粗末に扱ってしまいます。
逆に作ってくれた人の顔が見えないからかもしれません。

寒さや暑さをしのげれば、人はどんな物を身に着けていても生きていくことはできます。
けれど、たった一枚のお気に入りのシャツや素敵な色のスカートを身に着けることで人はどんなに気持ちが明るくなることでしょう。好きな色やデザインの服を身に着けることで勇気をもらえたり、人に優しくできたりします。服には不思議な魔法が詰まっています。

自分だけのために丁寧に仕立てられた服と共に年を重ね生きていくってとても贅沢で素敵なことです。私もそんな洋服が欲しくなりました。

愛する人との初めてのデートで着たお気に入りの洋服を死に装束にしてほしいという、高校時代の恩師。
一生着られる服、一生添い遂げられる服が一枚でもあるって幸せなことです。
たかが服、されど服、本質的な価値観に気付かせてくれる素晴らしい映画でした。

主演を務めるのは控えめな抑えた演技が光る中谷美紀さん。共演には三浦貴大さん、片桐はいりさん、中尾ミエさん、伊武雅刀さん、余貴美子さん。そして全編に彩られた洋服の数々。市江が作業着として着ている服や外出するときに着ていた服が色合いやデザインがどれも本当にシックでため息が出るほど素敵でした。

by Ricophoo | 2015-02-01 21:59 | 映画 | Comments(0)