3月31日池袋演芸場三月余一会「柳家喬太郎の会 KENNY‘S寄席スペシャルバージョン」に行ってきました。
ありがたいことにプレミアムフライデーということで仕事が午後休となり、午後2時開演に間に合いました。さすがは喬太郎さん出演の寄席ということもあり、平日昼間なのにほぼ満席。
開口一番は来月から二つ目に昇進予定の
●入船亭辰のこ【十徳】普段は物知りぶっている男、髪結床で仲間に「あの隠居の着ている変な着物は何というのか?」と聞かれたが答えられず、悔しくて隠居の元へ。
「これは十徳という。その言われは、立てば衣のごとく、座れば羽織のごとく、ごとくごとくで十徳だ」と教えられ、早速仲間にうんちくを傾けようと引きかえしたのはいいが、いわれをすっかり忘れてしまい…
●柳家喬太郎【夢の酒】昼寝中の若旦那が何やらニヤニヤ。どんな夢を見ていたのかと嫁がしつこく聴くので、「雨宿りした家の女と誘われるまま色っぽい雰囲気になった夢」の話をしたところ嫁が嫉妬して挙句の果てに大激怒。仲裁に入った大旦那。嫁が「夢でその女に意見してくれ」と言われ仕方なく昼寝をするはめに…。
なんと言っても喬太郎さんの演じる女性がいい。感情の起伏の激しい嫁と夢の女の色っぽさ。おじさんが演じているのにも関わらず、すっかり女性に見えてくるのが落語の不思議。
●金原亭馬遊【干物箱】遊び好きの若旦那、親父に外出を禁止されてしまったが、花魁に会いたくて仕方ない。思案の末自分の声真似が得意な貸本屋の善公に身代わりを頼む。
「お父っあん、ただいま帰りました。おやすみなさい」と、顔を見られずうまく二階へ上がりはしたものの独り言と一人芝居が高じて階下の親父に見つかってしまうが…。
初めて聴く馬遊さん。落語よりスマホを落としたマクラの話が(あるある)リアルで面白かった!
●柳家喬太郎【ハワイの雪】新潟上越に孫娘と住む留吉じいさんのもとに、ハワイに嫁いだ幼馴染の初恋の相手、ちえの孫から手紙が来る。ちえは病気で先が長くなく留吉に会いたがっていると書かれていた。初めは逢いたくないと言っていた留吉だったが孫娘の説得で、地元の腕相撲大会に出場、シルバー部門でライバルを倒して優勝し、賞品のハワイ旅行に出かけることに。ハワイで初恋の相手ちえと再会を果たし喜んでいると、空から雪が降ってくる。
喬太郎さんの落語を語るうえで、勉強不足で申し訳ないのですが、このハワイの雪という新作落語は、ある落語会での三題噺(八百長・ハワイ・雪)がきっかけで生まれた噺なのだとか。きっとその頃より改良が加えられたのでしょう。現在では完成形に近い、キョンキョンファンの間では所謂名作と言われるものとなっているようです。
前半は孫娘とのやり取りで爆笑。中盤は腕相撲大会でのライバルとの駆け引きで、また爆笑。
そして後半はしっとりと初恋の人との再会で、まるで昔のフランス映画を観ているような錯覚になりました。ラストの雪のシーンは美しい映像美が池袋演芸場に広がって、会場中そこかしこですすり泣き。気が付いたら頬を涙がつたっていました。
今一番チケットが取れない落語家 喬太郎さんの噺を2席も聴けて大満足の文字通り
プレミアムなフライデーとなりました。