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フル3・5切りに思うこと

懸賞 2009年 03月 28日 懸賞

2週間も前の話になりますが、とりあえずご報告です。
3月15日、前日までの嵐から一転雲ひとつない青空が広がり、絶好のコンディションの中
第12回荒川市民マラソンに参加してきました。
予想されていた風もなく、気温もまずまずの見事なフルマラソン日和となりました。

前日受付で、荒川の風のヤツに傘をぶち壊され、個人的に宣戦布告を受けたため、売られた喧嘩、キッチリ買わせていただくことにしました。
喧嘩上等!とは申しましても、かねてより念願の3時間半切りも目標にしていたため、お師匠からは、決して飛ばさず、4分45秒を最後まで貫いていけ!と口を酸っぱくして言われておりました。
私も直前までは、そう固く心に決めておりました。
なにしろ、私の中での、この荒川マラソンのテーマは「粛々と淡々と」です。
何があっても、今まで行なってきた練習の延長線上、心穏かに、粛々と
そして淡々と足をゴールに向けて運ぶだけです。そんな大人のレースをしようと心に決めていたのです。
スタートの号砲が鳴るまでは。

スタート前に最前列に並んでいたところ、隣りの年配の女性ランナーが話かけてきました。
去年、この荒川で一番前に並んで、ゆっくりスタートをしていたら、後からランナーの大群に押され、転倒し、前歯を3本折る大怪我をしてしまい、その時の傷がまだ顔に残っていることも、誇らしげに教えてくれました。
そんな痛くて怖い思いをしたのなら、今年も最前列に並ぶなよ・・・といってやりたかったですが、聞いているうちに怖くなり、号砲が鳴った途端に慌てて猛スピードでスタートラインより飛び出してしまいました。
初めの1キロの入りが4’08。
きえぇぇ~!速すぎるっ!普段練習でも出したことのないラップに完全に舞い上がってしまい、そこでやめておけばいいものを、調子が良いのでその後も自分の強欲さと、貧乏人根性が災いし、ラップを抑えきれず4’23~4’45で30キロまで行ってしまいました。あんなに言われていたのに、調子の良さから天狗になり、お師匠の教えを完全に無視してしまいました。
どんなもんじゃい~!あと12キロっ!このままラストまで荒川のヤツをひぃひぃ言わせてやるぜぇぇ!などとまるで天下を盗ったような気で調子をぶっこいておりました。
ところが、30キロを過ぎた時、完全にピタリと足が止まりました。なにが起こったのか、キツネにつままれたようでした。自分では4分半で走っているつもりが、全く足が動かず、5分を大きく越えるまで落ち込みました。
今まで鮮やかに見えていた周りの景色がモノトーンに変わりました。
思考が停止し、知り合いのランナーの方が隣りを走っているのにも、まったく気がつきませんでした。
荒川名物の35キロのシャーベットを餓鬼のように食らい、そこからは、記憶も定かではありません。
丸子組のやすべえさんが、私の横を颯爽とすり抜けていきました。やすべえさんは、この荒川が人生初のフルマラソンです。やすべえさんの背中を淡い目で追いましたが、すぐに見えなくなってしまいました。
だんだん、周りの景色がモノトーンから、白いモヤが掛かったように見えてきました。
荒川の川の向こうで、三角頭巾を被った白装束の人たちが、手招きをしているような気がして、ついフラフラと蛇行して走ってしまいます。
39キロ地点、朦朧とする意識の中、もはやこれまでか・・・と天を仰いだその時、突然私の背後から、お師匠が現れました。お師匠降臨の瞬間です。翌週に控えた東京マラソン前のペース走ということで、荒川はゆっくりとキロ5分で走られると言われていたお師匠。
折り返しで、随分差をつけて走っていたため、まさか、この時間に、この場所に、お師匠が現れるとは夢にも思っておりませんでした。
意識を失いつつあった私は、既に言葉を発することができません。
驚きと喜びの入り混じった「くぅぅ」と小さなうめき声を上げるのがやっとでした。

「よし!これからだぞっ!!しっかり走れ!」と併走しながら、檄を飛ばしてくださいました。
お師匠様!ありがとうございますっ!(涙)
こんな私に、救いの手を差し伸べてくださると言うのですか?

お師匠の教えを無視し反旗を翻したうえ、造反行為を行なった、裏切り者のユダは私です!
師匠!この不遜なワタクシめを、どうかお許しください!残り3キロ、心してしっかりと走らせて頂きます!
白いモヤが掛かっていた荒川の風景が、一気に色彩を取り戻していきました。

ラスト41キロの大応援団の方たちに背中を押され、ラストスパート!足は上がりませんでしたが、力の限り走りました。

35キロから40キロまで27分まで落ちていたタイムが、40キロからラストまでの2.195キロを
10分50秒で走りきりました。
結果は手元の時計で、3時間26分00秒。悲願の3時間半切りができました。
2年前のつくばマラソンはグロスで3時間30分13秒。13秒に泣きました。
そして去年のつくばで3時間30分23秒。23秒に泣きました。
自分の中では2年前のつくばで、どこかにおいてきた13秒をずっと探し続けてきたような気がします。
低迷を続けてきた2年の歳月、夏山での鍛錬や、ウルトラマラソン挑戦、24時間走、トラックを使ってのペース走、連戦に次ぐ連戦をこなしたハーフマラソン・・・。
すべてが私の血や肉になり、糧となったような気がします。

いつも陰になり日向になり支えてくださったお師匠様には感謝しても仕切れません。

今回もお師匠の降臨がなければ、きっと気持も切れ、完走もできなかったかもしれません。
私は、やはりお師匠がいなければ何にもできない愚かな弟子です。
お師匠の偉大さだけが、心に残るレースでした。
目標のクリアはできたものの、荒川との勝負は完全に私の負けです。こんなに苦しいレースは初めてでした。荒川をひぃひぃ言わせるつもりが逆にひぃひぃ言わされてしまいました。

荒川マラソンが終って2週間・・
あの2年前のつくばで、すんなりと30分切りができなかったことが、今はとても良かったような気がします。
マラソンの醍醐味は当日までに体をピークに持っていくこと、そしてレースで最高のパフォーマンスをできる足や体や気持ちを作っていくプロセスが大切なのだと思います。その面白さに気づいてきたことが、とても大きな収穫です。

by Ricophoo | 2009-03-28 00:58 | スポーツ

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