アブラクサスの祭り
2011年 01月 23日
もうあれから20日が経とうとしていますが、何かの拍子にこの映画のワンシーンやセリフの言葉の一つ一つが、フッと心に蘇ることが度々あります。
この映画は、激しいスペクタルシーンで興奮するわけでも、感動の涙でハンカチを濡らすという珠玉の感動作と言うわけでもありません。
人に「見に行きなよ」と薦めるより、「いい映画を観たよ」と、そっと話したくなる映画です。
監督は東京芸大卒 新鋭の若手映画監督 加藤直輝
主演は映画初主演のミュージシャンのスネオヘアー
若い頃 ロック・ミュージシャンだったうつの僧侶・浄念は、、福島の小さな町で妻子と共に暮らしています。生きることに不器用で、禅僧だというのに法事や説法すら思い通りにできない・・・精神科で処方された、うつの薬を飲みながら、自分の本当を探しあぐねる悩み多き毎日。しかし、浄念はある日この小さな田舎町でライブを行うと言い出します。反対する人、温かく見守ってくれる人、純粋で真っ直ぐな生き方しかできない浄念が迷い悩みながらも音楽(ノイズ)に自分の魂を込めて表現しようとする姿に、優しい感動が柔らかく広がっていきます。
アブラクサスとは善も悪も両方を併せ持つ神様のことです。
一日にも昼と夜があるように、人の気持や人生にも光と陰の両方があります。
この世の中には、光輝く明るい場所もあれば、静かな漆黒の暗やみもあります。
白もあれば黒もある。善もあれば悪もある。
どちらが正しいのかなんて実はだれも判らない。
人生なんて○もあれば×もある。
正解を求めるだけが人生じゃない。
全てを受け入れて、あるがままを生きよう。
「南無 アブラクサス」
あるがままでいいじゃない。
ないがままはないがまま。
何もなくったっていいんだよ。
浄念の音楽がそう叫んでいます。
by Ricophoo | 2011-01-23 00:12 | 映画