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ないものあります

懸賞 2007年 06月 08日 懸賞

ないものあります_f0036354_2318115.jpg本棚を整理していたら、ちょっとまえに読んだ
クラフト・エヴィング商会(筑摩書房刊)の
「ないものあります」が出てきた。
パラパラと読み返すうちに面白くなって
整理を忘れて夢中になって読んでしまった。



よく耳にはするけれど、一度としてその現物を見たことがない。

そんな「ないもの」たちを、商品として
私達のニーズに応え、一同に集めて紹介してくれるのが
この「ないものあります」と言う本だ。

堪忍袋の緒、舌鼓、口車、左うちわ、自分を上げる棚
地獄耳、思う壺、無鉄砲、一筋縄、先輩風、転ばぬ先の杖
冥途の土産、大風呂敷、金字塔、おかんむり・・・・

こうして並べただけでも
ドラえもんの秘密道具みたいに
なんだかドキドキ、ワクワクしてくる。

なかでも一番すきなのは
「左うちわ」。

「左うちわ」。コレ一枚で、遊んで暮らすことができる。
もちろん働く必要などない。毎日がいたれりつくせり。
但し、「左うちわ」は一生ものではないことを認識するために
購入者は「平家物語」の冒頭を暗誦、盛者必衰の法則を
頭に叩き込んでから使用とのこと。
また一旦購入したら最後、冬場でも常時パタパタと
左手で仰いでいなければならず
もしも疲れて仰ぐのを止めてしまったら
ただの遊び人、ごろつき、世捨て人とみなされてしまう危険性の高い商品であるとのこと。
左利きの人は、もともとから左うちわなので、その効果は
保証できかねるとも書いてある。

あと気にいったのが
「おかんむり」。
日常生活で頭にくることが発生したら
この「おかんむり」をうやうやしく頭に乗せるだけでOK!
あとは黙って大きく構えているだけでいいという。
周囲の人間がその「おかんむり」を見て
「あの人はおかんむりだ」と判断、そっと静かにしておいてくれる
という自然にまかせた優れもの。
「おかんむり」を静かに頭に乗せているだけで、次第に心が穏かになり
いつのまにか怒りが消失しまうという魅力溢れる商品だ。

「針千本」も笑えた。
指きりげんまん嘘ついたら針千本のます!
私達は幼い頃からこのフレーズを何度となく
楽しげに口にしてきたけれど
よく考えると実に恐ろしい懲罰だ。

針を千本飲む・・・考えただけでも恐ろしい。

この針千本がずらりと並んではりつけてあるのが
「針千本」という商品。
もちろんこの商品は人に飲ませるために作られたものではない。

使い方は簡単。
「針千本の~ます!指きった」と約束が交わされた後
おもむろにこの商品を出し
相手に確認してもらうだけ。
「これがその針千本である」と。

こうなると、そう簡単に嘘など付けなくなる。
人を良い方向に導いてくれる
そんな倫理性、道徳性の高い商品だ。

「ないものあります」は、こんな商品あったらなぁ!と読後アレコレと
思いをめぐらしてしまう
大笑いはしないけれど
思わずくすりと笑ってしまう
そんなシュールで楽しい一冊である。

いわゆるこれが「目から落ちたうろこ」の一枚なのかもしれない。

by Ricophoo | 2007-06-08 23:30 |

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